NPO職員の給料が少ない3つの理由

優秀な人材や能力を引き込み、継続的に活躍してもらうには、それ相応の給料は必須です。特に、これからの慈善団体や社会的企業のようなソーシャルセクターはこれまで以上にスキルや専門性が求められており、今後いかに優秀な人材を確保できるかに勝負がかかっています。そのため、NPO職員であっても給料の視点は必要です。NPOへの就職を希望する人もこれから雇いたいと思っている人も、まずは現状を見つめることから始めることが必要ではないでしょうか。今回は、給料が少ない理由をマインドセット、単価、理解の3つの角度から解説します。

なお、ここでのNPOはNPO法人を主に想定していますが、その他資産の分配に制限をかけている(非営利)の組織全般に関しても、程度の差はあれど似た状況になっている場合も多いと思われます。

NPO職員の平均給与は年間300万円弱くらい

NPO職員の給料はどのくらいなのかと気になった人も多いのではないでしょうか?
平成22年に実施された調査では、NPO法人の職員の年収は260万円ほどとされています。5年以上経って少し上がってるとしても300万円弱ほどではないでしょうか。いづれにしても月15万〜20万円ほどということになります。

以下のグラフは日本の全労働者の年収を並べたグラフです。NPO職員の平均年収である300万円あたりは矢印の部分にあたります。

これをみて何を思うかは人それぞれだとは思いますが、専門的な知識やスキルが必要だと言われているにも関わらず、それに適う人材を引きつけるにはいささか厳しい条件であると言えるでしょう。サラリーマンや公務員と比較しても大体6割くらいです。おまけに、ほとんどの組織では福利厚生や退職金は無いと同然です。ではなぜ、このような状態になっているのでしょうか。以下ではその理由について解説します。

(理由1)マインドセットが向いていないから

マインドセットとは、

経験、教育、先入観などから形成される思考様式、心理状態

引用:「マインドセットとは」|グロービス経営大学院

のことを言います。NPO職員の給与が少ない大きな理由として、この考え方の部分が大きく影響していると言えます。そしてここには、3つのタイプがあると考えることができます。

タイプ1:お金のためではないと思っている

「NPOが行なっている事業は世のため人のため。お金をとるなんて汚い。」という考え方です。この考え方をすること自体は全く持って自由であり、批判の対象になるものではありません。

しかし、優秀な人材を確保したいと考えた場合、この考え方を要求することは現実的に難しいでしょう。やはり、優れた能力やスキル、経験というのは何かしらの投資や時間をかけなければ手に入れることはできません。そういったものを活用するのであれば、それに見合った報酬(給料)が必要になってきます。

タイプ2:お金がいるけど、言えない

2つ目のタイプは、必要で適切な対価であるもののそれを主張できないという考え方です。「本当にお金をもらっていいのだろうか?」や「どう言ってお金をもらったらいいのだろうか?」といったことで悩むものです。言い換えればもらえるのに自分にブレーキをかけてしまっている状態です。

タイプ3:いいことしてるのだからもらって当然

3つ目のタイプは、他の2つとは打って変わって「いいことをしてるのだからもらって当然」と大きく出て、結果的にお金をもらえないタイプです。例えば企業や個人から寄付をもらう時や助成金をもらう時にこう行った考え方や態度が全面に出てしまうことがあります。

いいことはもちろんですが、それがどういいのか、どの程度の成果が出せているのか、をしっかりと地に足をつけて考える必要があります。自信と傲慢は違います。ちゃんと相手を納得してもらってこそです。

それぞれの「マインドセット」を変えることが大切

ここまでで3つのタイプのマインドセットが、結果としてNPO職員の給料が低迷している原因になっていると解説しました。これらのマインドセットを変えていくことが大切だと言えます。

そのためには「雰囲気」を変えることが重要です。雰囲気とは、NPO職員が能力に応じたちゃんとした給料をもらっている、もらえる雰囲気です。最近では、世界的にも全国的にもこのような雰囲気ができつつあります。雰囲気を作るには、具体的な行動を積み重ねるしかありません。うまくいく成功事例を作っていくことが大切なことだと思います。

(理由2)単価が決まっているから

多くの場合、収入は「単価×個数」で表せられます。例えばアルバイトの場合、時給1000円で5時間働けば5000円の収入になりますが、この場合「時給(単価)×時間(個数)=収入」と見ることができます。このとき、収入を増やそうとすると働く時間を増やすのが一般的な考え方です。これは時給(単価)が決まっているからです。

NPO職員の給料が伸び悩む理由はこれとほとんど同じです。NPOの多くは行政機関などから委託を受けていることが多いです。このとき、担当するスタッフに人件費が当てられるわけですが、その人件費が固定されていることがほとんどです。

別の見方をすると、対応した人数などで収入が決められている場合も考えられます。例えば、低水準の待遇が問題となった保育士。子供一人あたり何円という風に人件費が決まっている上に、ひとりで面倒見れる人数は限られるので、収入は自ずと制限されてしまいます。

この理由に関しては、単価を上げることが大切ですが、それが簡単にできないから困っている訳です。そうなれば、いかに付加価値をつけていくのか、いかに他のコストをカットするかと言ったような議論になっていきます。

(理由3)人件費に当てるための理解が不足しているから

寄付をする人たちや助成金を出す財団などが資金提供する際に、事業費として使うよう制約をかけることがあります。これでは、事業費としてはお金が入るものの、管理費、特に人件費にはお金が回りません。結果として、事業を実施するはずのスタッフが大変な思いをするということになります。

この事態を改善するために、管理費まで含めて必要なコストを全て回収しようというコンセプトが「フルコストリカバリー:Full Cost Recovery」です。例えば行政機関が民間の非営利組織に事業を委託するときや財団が助成金を出すときなどに、管理費までまとめて支払うという考え方です。これによって、事業の為に事業をして疲弊していくという悪循環を止めることが期待できます。

まとめ

今回はNPO職員の給料がなぜ比較的少ないのかについて理由を解説してみました。やはり、優秀な人材を引き込んで継続的に活躍してもらうためにも、適切な給料は必要です。その意味では、今回解説した理由を元にいかに対策をとっていくのかを考えることが重要ではないでしょうか?NPO職員の給料のみならず、様々な待遇が改善され、若い世代にとっても希望の持てる業界になることを望んでいます。

参考文献

[1]愛知県(2010)『 平成22年度NPO雇用状況等調査報告書』
[2]国税庁(2014)『民間給与実態統計調査』