NPOに就職したい人が知るべき5つの現実

NPOの就職希望者は性別世代を問わず増えてきています。しかし、実際にNPOで働くイメージや実態はかなり漠然と理解されています。今回は、NPOに就職したい人が知るべき現実を5つ紹介します。NPOで働く、現実は厳しいものではありますが、徐々に変わりつつあります。

そもそも、NPOってなに?

NPOは非営利組織のことですが、人によってその意味する範囲は異なります。NPO法人のことを指す場合から協同組合や一般社団法人なども含む場合、任意団体(慈善団体)まで含む場合まで様々です。最近では、高い事業を持ち資産の分配に制限をかけている社会的企業と呼ばれる形態も登場しました。

ここでは、広い範囲で慈善団体から社会的企業まで、資産の分配に制限をかけている組織全般を対象とします。なお、慈善団体や社会的企業のような組織をソーシャルセクターということもあります。詳しい内容は、「ソーシャルセクターとは何だろうか?」で解説しています。

NPOで働きたい人が知るべき5つの現実

NPOに就職したい人が知っておくべき現実とは何があるでしょう。給料や待遇、環境のような側面から5つ紹介します。

(現実1)給料は初任給くらいの水準

 

NPO職員の給与水準
NPO職員の給与水準

NPO職員の給料は平均で年収300万円弱と言われています。月15万円程度ということになりますね。はっきり言ってこの水準だと生活をするのは困難であると言わざるを得ません。給料が少ない理由にはいくつか考えられますが、いずれにしても現時点では働く前に、収入源をいくつか持っておくとか、蓄えておくとかの備えをしておく必要はあると思われます。

このことについては、「NPO職員の給料が少ない3つの理由」でも解説しています。

(現実2)福利厚生はないに等しい

基本的に慈善団体や社会的企業のようなソーシャルセクターの多くは資金難に喘いでいます。その中で事業を行なっているので、福利厚生まで手が回っていません。もちろん法人であれば、社会保険料の負担などの法律で決まっているものは義務として行われなければいけません。しかし、法定外の福利厚生を行う余力まではない場合がほとんどです。例えば、住宅手当や家賃補助、健康診断の補助などは実施しているところは極端に少ないでしょう。

(現実3)ペーパーワークが多い

NPO職員といえば、困っている人のそばに寄り添って事業をしているというイメージが強いかも知れません。しかし、実際に困っている人のそばにいる時間よりも、パソコンに向き合って書類を作っている時間の方が多いということもよくあります。

というのも、NPOの財源の多くは寄付金や会費、助成金といったものに頼っています。これらの多くには報告義務があります。申請用の企画書や報告書、会報などなど想像以上に作成しなくてはいけない書類がたくさんあります。NPOで働くと想像以上にペーパーワークに時間を取られてしまうということは覚悟が必要です。

(現実4)育成する仕組みはないに等しい

NPOで働くには専門的なスキルが必要になります。その一方で、そのようなスキルを身につけるための人材育成の仕組みはほとんどありません。ほぼ自力で必要な力を身につける必要があります。中には、サラリーマンや公務員自体に身につけたスキルを持ってNPOと関わる人もいます。

(現実5)転職が多い

NPOは安定な組織であることは少なく空いたポストを転々と転職することもよくあります。企業でも終身雇用の体制は崩れてきていると言われていますが、ソーシャルセクターではこれの比ではありません。

転職はその後の見通しをしっかり持って行わなければ、キャリアに不利益があるといいます。自分のスキルやビジョンを持った上でやっていく覚悟がなくては厳しいと言えます。

少しずつ、状況は変わっている

ここまでNPO職員を取り巻く厳しい現実について書いてきましたが、そのような状況も少しずつ変わってきています。

収益力の強化

最近では、社会起業家という言葉が広まっていますが、その背景にはNPOの作り出す社会的価値だけでなく、それを支える収益力が必要であるという認識が広がっているという点があります。これまで多くのNPOは助成金や補助金、寄付会費が主な財源でしたが、これらの支援性の高い財源だけでは、事業を維持したり発展させたりすることは困難なことも多いのも事実です。そこで、自分たちで行なっている事業から必要な財源を確保して財務的にも自立させようとする考え方が広がりました。

能力強化への取り組み

多くのNPOでは単体で人材の育成は難しいので、外部から人材育成の取り組みを進めています。これに伴って、コンサルタントの誕生や行政による能力強化のプログラムの提供など色々な角度から整備が進んでいます。

また、大学や社会人大学院などでも、ソーシャルセクターに特化したプログラムの開発も進んでいます。専門的なスキルや知識を身につけた人たちが続々と育っています。

資金調達(ファンドレイジング)やファシリテーション、マネジメントなどのスキル強化がうまくいくことで、組織の安定した運営ができるようになれば、より個別の能力強化も進んでいくことが期待されます。

人材斡旋サービスの充実

ソーシャルセクターに特化した就職や転職の斡旋サービスもここ数年で充実してきています。ファンドレイザーなどのような専門人材の斡旋まで出てきました。このようなサービスをうまく活用できれば、ステップアップやスキルアップも効果的にできるのではないでしょうか?

NPOに就職する前に、ある程度キャリアのビジョンを持った上で、このようなサービスを賢く使うことが大切です。

まとめ

今回は、NPOに就職したい人が知っておいた方がいい現実をまとめてみました。全体的に厳しいものだったと思います。NPOで働く職員の実態は、漠然と理解されています。就職を考える際には、今回紹介したリアルを踏まえた上で、さらに検討してみてはいかがでしょうか?

とは言え、今後のソーシャルセクターは面白い存在になっていくのではないかと思います。自分の力や成長力を試してみたい人にはとてもエキサイティングなものになるでしょう。