1度は考えてみたい!社会的価値ってどんな価値?

2016-11-03

このサイトのタイトルにもなっている「社会的価値」。ソーシャルセクター、ソーシャルビジネス、ソーシャルファイナンスなどなど、社会的価値を起源にしているたくさんの取り組みやアイデア、コンセプトがあります。社会的価値とは一体何なのかをこのことを考えることで、このような実践や概念の理解がより深まることでしょう。

価値あるところにニーズあり

そもそも価値とは何でしょうか?

…難しいですよね(汗)

人が価値を感じる時は、何か困っていたり、あると便利になったりした時ではないでしょうか?価値とは、何らかの必要性があるからこそ感じるものであり、その必要性のことを一般的にニーズと言います。ここでは、このニーズを満たすもの、それが価値なのだということにしておきましょう。

であれば、社会的価値とは社会的ニーズを満たしている価値と言えます。
社会的ニーズとは、切り口や立場によっていろいろな議論がありそうですが、安心して安定した生活をしたいといった基本的なニーズのことを指すと考えて問題なさそうです。実際、後にも紹介しますが、社会保障制度はこのようなニーズを満たすために組み立てられた制度です。

社会的価値にはたくさんの切り口がある

これまで、多くの人々によって実にたくさんの切り口から社会的価値とは何かについて議論がされてきました。ここでは、その議論について紹介します。

社会的価値とは、人々の潜在能力を守り引き出すもの

有名なインドの経済学者に、アマルティア・センという人がいます。彼は、1998年にノーベル経済学賞を受賞している非常に有名な経済学者です。

彼は、「潜在能力(capability)」という概念を世に広げました。潜在能力とは、「ある人が価値を見出し選択できる機能の集合」のことと説明されています。ここでいう機能とは、十分な栄養が得られることや治せるはずの病気で苦しまないこと、社会に参加できることなどといった何かの「状態になること」や「すること」を指します。

平たく言えば、貧困でないこと、健康であること、社会の一員であることなどのような実際に行うことができるはずのことがちゃんと自分の意志でできる能力のことを潜在能力というということです。

起業家について研究しているフィリップ・オースワルドという研究者は2009年に発表した論文で、社会的価値が実現することは、すべての人々にとって、このような潜在能力を阻害されず、強化されることであるとしています。

社会的価値とは、共有できる価値

社会的価値に「社会的」という言葉がついていることからも分かるように、社会的価値は誰かのため、というよりも、みんなのためという方が正しいでしょう。

アマルティア・センやフィリップ・オースワルドのように、社会的価値が潜在能力を守り強化するものあるとすれば、共有できる価値という考え方は妥当ですね。

ところで、共有できる価値と考えてみると、経済学の専門用語の「公共財(集合財)」という概念がとても似ています。公共財というのは、複数の人が共同で手に入れることができるもののことを言います。例えば、住宅街にある公園や公衆トイレ、空気、農林水産資源から警察、国防までたくさんあります。これらの特徴としては、複数の人の間で共同でその価値を受けることが挙げられます。空気を吸うのにお金を払っている人はいないし、早いもの勝ちでもありませんよね。基本的に公共財は政府や行政によって市民に提供されていることが多いですが、民間によって供給されることも多々あります。

ちなみに、公共財の反対の概念が「私的財」と呼ばれるものです。企業や資本主義、経済学は主に私的財をいかに効率的・効果的に提供していくのかというところに重心があります。

このように考えてみると、公共財は社会的価値を届けるために必要なものだとわかりますね。

社会的価値は社会サービスの形をして届けられる

社会的価値を持つサービスのことを社会サービスとも呼んでいます。
公共財の考え方を持ってくれば、社会サービスは公共財であるといっていいでしょう。

例えば、政府が行っている社会保障制度は「現金給付(所得保障)」と「現物給付」の2本柱になっていて、現物給付の方が社会サービスにあたります(この場合、公共によるサービスなので、公共サービスともいわれます)。

また、ソーシャルセクターの組織による事業は、行政によってまかないきれていない社会サービスや、行政より優れた社会サービスを提供しようとしていると言えます。企業も工夫によっては社会サービスの提供に関与することは十分可能でしょう。

このように考えた場合、社会サービスを提供する主体はNPOや社会的企業のようなソーシャルセクターや行政、企業などあらゆる主体がその主体になり得ると言えます。

まとめ

今回は少し専門的な話題が多かったですね。
社会的価値とは何かを考えることは、色々な分野に広がっていきますが、それだけ重要な概念であるということです。

安心して安定した生活を望むのは人として当然のことであり、当然の権利です。この権利のことを社会権といいます。しかし、生きていればたくさんのリスクに遭遇します。このように安心・安定を望む気持ちが社会的ニーズであり、それを満たす価値こそが社会的価値であるといえるのではないでしょうか。

社会的価値にはいろいろな議論があり、ここで紹介したことは一例です。この記事が皆さんそれぞれにとっての「社会的な価値」を考えるきっかけになれば幸いです。