社会サービスの4つの価値基準

社会サービスとは、生活の基盤を支えるサービスのことを言います。言い換えるなら、病気や怪我、出産、失業、死亡などといったリスクに対して、予防し支援し生活を安定させるためのサービスとなります。詳しい内容は、「社会サービスとは」で解説しています。では、このようなサービスにはどのような価値基準があるでしょうか?今回は4つの基準に分類して紹介します。この記事を通して、いかに色々な一面を持っているものかということがお分かりいただけると思います。

4つの価値基準

社会サービスはほとんどの人々たちにとって、重要なサービスです。そのため、しっかりとした価値基準による評価が必要になります。また、色々な側面を兼ね備えたものなので、その基準も一つではなくたくさんあります。

基準としては、効率性、公平性、自由、連帯の4つが主な基準として使われます。
ここで大切なのは、すべての基準が同じレベルというわけではなく、社会サービスの種類や供給主体などによって重きを置く場所が変わるということです。

効率性

効率性は、クオリティや効果に関わる基準です。「社会サービスの質における、3つの側面」で解説しているようなことを指します。

加えて、サービスの生産コストや需要と供給のバランスなどもこの基準の中で語られます。また、ディスインセンティブ効果への配慮も含まれます。ディスインセンティブ効果とは、働く意欲や企業の生産活動への意欲などが阻害される効果のことを指します。良かれと思って、何かのサービスを提供したまではいいものの、それによりマイナスの影響が出てしまい受益者が「働かなくてもそこまでしてくれるなら別にいいや」のような考え方になってしまうと意味がありません。この一方で、ディスインセンティブ効果への捉え方は様々にあるので一概には言えないという意見もあり、この辺りは難しいところです。

近年の民営化やソーシャルセクターの活躍というのは基本的にこの効率性に関する内容で期待がされています。行政が供給主体の場合、確実性や信頼性といった意味では優れていますが、往々にして効率の悪さがネックになることが多いです。この原因は色々と考えられていますが、競争原理が働かないことや予算主義といったことがよく挙げられます。このような観点からも効率性には関心が集まっています。

公平性

社会サービスの意義の一つに所得再分配という考え方があります。これは、激しい格差を解消するために、富めるものから貧しいものへ何らかの形で資産を分配するというものです。ここでは、公平性が重要視されます。

一口に公平性といっても、2種類あります。1つ目が、水平的公平というものです。これは同じ能力をもつ人々は同じだけの負担をするということです。2つ目は、垂直的公平です。これは違う能力をもつ人々は違う負担をするというものです。これ以外にも、現在の世代と将来世代の公平性もあげられることもあります。

いづれにしても、公平性は基本的な軸として無視してはいけないものであり、むしろ根幹にもなりうる基準だと言えます。

自由

社会サービスによって実現されることの一つに「自由」があります。経済的な自由、職業選択の自由、消費者選択の自由、企業活動の自由などです。アマルティア・センという経済学者はこの自由を享受できない状態こそが貧困であるといっています。例えば、十分に教育を受けられなかったからつけれたはずの職業につけれらなかったとか、予防できたはずの病気にかかり生活に制限がかけられるといったことが挙げられます。

自由とは近代以降重要な概念であり、深追いするとどこまでも深い議論になってしまいますが、社会サービスが実現するものとして重要な基準になるでしょう。

連帯の促進

そもそもなぜ福祉国家が社会サービスを国民に提供するのかを考えてみると、国家としてしっかりと統治するためだからではないでしょうか?格差が広がり、教育も医療も満足に受けられないといった状態では、治安は乱れ、国民の分断が深刻になるでしょう。こうなってしまうと、国民を一つに束ねるということは、非常に困難であると言わざるを得ません。

また、最近では、過疎化や核家族化が進み、人と人の繋がりが弱くなっていると言われています。それに伴い、コミュニティや地域福祉といった言葉も頻繁に聞くようになりました。

社会サービスは、どのくらい人と人をつなぎとめるため貢献できたのかという基準も持っていると言われています。

まとめ

今回は、社会サービスの価値基準を4つに分類して紹介しました。

色々な一面を持っているものであり、一口にこうであると言いにくいものだと思います。ですが、この多面性が色々なプレイヤーの参加を促したり、議論を深めたりといったことにつながるのではないでしょうか。いづれにしても、社会サービスがいかに多面的な性質を持っているのかがお分かりいただけたら幸いです。