持続可能な開発目標(SDGs)ってナニ?国連が採択したグローバル目標のキホン

2017-12-08

SDGs(持続可能な開発目標)は、2016年から2030年の15年間で世界が達成すべきグローバル目標として国際連合で採択されたものです。17の目標と169のターゲットを設定しており、とても広い範囲をカバーしていて、まるで、世界が抱えている社会問題のカタログのようなものです。

最近では、企業がビジネスチャンスとして捉えたり、政府や行政が政策に組み込んだりとその活用の幅もかなり広くなっています。今回は、そんなSDGsの概要について解説していきます。

目次

SDGsを知るためのキーワード

国連といえば、誰もが知る国際機関ですが、様々な国が関わるためその調整やバランスは難しいものです。にも関わらず、SDGsはかなり攻めた内容となっています。ここでは、SDGsを知るためのキーワードをいくつか紹介します。

Transforming Our World

これは、SDGsのサブタイトルのようなもので、直訳で「世界を変革する」となります。こう言い切ってしまうクールさたるや、さすが国連。いや、国連でここまで言い切ったところにすごさを感じますね。

誰1人として置いていかない

「No one left behind(誰1人として置いていかない)」は、SDGsが先進国や途上国などの区別ではなく、世界に普遍的に当てはめることができる全ての人々のための目標となるよう作られたことを表しています。

5つのP

SDGsの裾野の広さを表現するものとして5つのPというものがあります。これは「People(人間)」「Planet(地球)」「Prosperity(豊かさ)」「Peace(平和)」「Partnership(パートナーシップ)」であり、この5つのPがSDGsを底で支える価値観となっています。

17の目標と169のターゲット

SDGsは17個の目標と169個のターゲットから構成されています。ちなみに、230以上の指標も準備されており、それらをもとに継続的なモニタリングも行われています。こう見てみると、ここまでの広い範囲の目標であることに驚くと同時に、ここまで問題が広く大きくなっていることに驚きますね…

ここでは、17個の目標を順番に紹介していきます。17個の目標の中で、特に関心のある目標はあるでしょうか?

目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

SDG1は貧困撲滅についてです。貧困の克服はSDGsの前身となったMDGs(ミレニアム開発目標)でも中心的な課題とされていましたが、SDGsでも重要な位置を占めています。何を持って貧困と定義するのかも国や地域によって様々です。加えて、なぜ貧困状態に陥ってしまうのかという理由も様々で限定することは難しいものです。なので、この目標に準ずるターゲットでも、定義の仕方やその対応の仕方などについてあらゆるケースを想定しています。いずれにしても国・地域や性別、世代の区別なく誰も置いていかない目標達成が求められています。

目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

人間が健康的に生きていくためには食からは避けて通れません。現在、世界では10億人を十分に養えるほどの食料が廃棄されるなど、明らかな不均衡が見られます。また、気候変動などによって食料の生産量も一気に減少することも多くなりました。このような状況から脱するためにも、食料の生産から確保までの全ての段階で食の不均衡を無くそうとする目標になっています。日本でも農家の後継者不足も大きな課題になっていますし、栄養状態の悪化も指摘されています。案外、飢饉や農業の問題は日本でも大きな意味を持ちそうですね。

目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

健康でいられることは何にもまして、大事なことです。病気の予防、治療、正しい知識はそのために必要なものです。日本ではどうとないことでも、世界では命の危険に繋がるものがあります。妊婦の死亡率、新生児死亡率、交通事故などがそれに当たります。また、大気汚染や海洋汚染などの環境破壊も病気の原因になることがあります。日本でも、タバコのリスクや性感染症などといった健康リスクが存在します。このような健康リスクへちゃんと対応することがSDG3では掲げられています。

目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を提供する

教育はこれからの地域・国・世界を作っていくために必要なものです。しかし、日本を含む世界の多くの国々で教育格差が広がっているのが事実です。読み書きそろばんができなければ騙され、持続可能な開発についての正しい知識がなければそのための努力をすることもできません。そのため、男女の教育格差、障害者や先住民への教育などあらゆる人々の教育へのアクセスが掲げられています。また、SDG4のターゲットの中では、経済活動へのちゃんとした参加ができるように、基礎的な教育の他に職業訓練への取り組みにも触れられています。

目標5:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

男女の格差は日本でも昔から言われてきました。最近では女性の活用の名のもと、家庭内外の役割が変化しています。しかし、男性と女性のそれぞれを取り巻く環境は平等とは言いがたいものです。世界を見ても、女性や女の子の権利や機会はなかなか厳しいものがあります。このような状況を打開し、男女の平等を実現しようというのがSDG5の狙いです。中でも、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価するということにも触れられており、日本で話題になる女性活用にも直結する話題でもあります。

目標6:すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

日本ではあまり意識されることは少ないですが、世界では安全な水やトイレなどを使えないことが深刻なテーマになっています。人は水を飲まないと生きていけません。安全な水回りにアクセスできることは命を守る上でとても大切なことです。世界的に安全な水の絶対量は不足してきており、技術革新や国際協力、生態系の保全などによってこのような水資源を適切に管理しようとしています。また、下水処理技術を世界に広げていくことで、水質の向上を進めていこうとしています。

目標7:すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

福島第一原発事故後、日本でもエネルギーの安定供給や安全性、持続性が問われるようになりました。最適なエネルギー源を確保して、組み合わせることは今の日本の課題になっています。その中でも特に再生可能エネルギーの割合を大きくして、環境への負荷を減らして持続可能なエネルギーの確保を目指しています。また、途上国では夜になっても灯りを使えないといったこともよくあります。このような現状を打開するためにも、技術開発や国際協力を通して近代的なエネルギーへのアクセスを進めていくことにも触れられています。

目標8:すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する

SDGs8健全な経済は安定した社会に必要なものです。そんな認識から、経済の健全化はSDGsの中でも大きな位置を占めています。とはいえ、無秩序な経済は貧困や環境破壊を進めてしまうという反省から、生産や消費の色々な段階で持続可能性を追求しようとしています。また、ディーセントワークとは適正な労働という意味で、労働者の権利を守りつつ、健康的に差別なく働くことを表しています。日本で最近話題になる過労死などの問題もここにつながると思います。またこのゴールには、同一労働同一賃金や持続可能な観光業についても触れられています。

目標9:レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る

SDG9SDG8でも健全な経済の必要性について触れられていましたが、SDG9にも繋がっています。このゴールでは特に産業化やイノベーションについてフォーカスされています。産業化やイノベーションの推進は、健全な経済のために必要です。産業化やイノベーションを持続可能に進めていくためには、それを実現する金融サービスやインターネットへのアクセスが重要になってきます。また、研究開発への投資も重要で、研究者の育成や資金供給などについても触れられています。

目標10:国内および国家間の不平等を是正する

SDG10不平等の原因は制度や文化による差別、金融サービスや移動の障害の高さなど様々なものがあります。このような国内や国外の差別を無くし、みんな平等に過ごせる様にしようとするのがこの目標の目指すところです。所得や年齢、性別、障害、人種、文化、宗教などたくさんの切り口で不平等が生まれているこの世界で、政策や法律、慣習を適正化していくことで、不平等を是正していこうとしています。資金や人の流れを円滑にすることも視野に入れられています。

目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

SDG11人が生活していく上で、安心安全な住環境を整備していくことは大事なことです。経済的な問題などから劣悪な環境(スラム等)で住んでいる人たちも多く、災害によって破壊されないこと、障害者や高齢者でも住みやすいことなど居住環境を向上していくことが狙いです。都心部と農村部の繋がりを支援することにも触れられていて、これは日本でも関連してくる項目ですね。また、資金的・技術的に途上国の住環境を向上させることも目指されています。

目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保

SDG12今の世界の消費パターンは環境に大きな負担をかけています。例えば、天然資源。石油や石炭は無限に湧いてくるわけではなくいつかなくなります。その使用は温室効果ガスを排出し環境破壊を進めてしまうと言われています。また、食料についても同じことが言えます。日本をはじめとする先進国でも食品廃棄が多く、フードロスが大きな問題になっています。このような破壊的な消費や生産のパターンを見直すことで持続可能な社会づくりを目指すのがSDG12の狙いです。加えて、生産の多くを担うのが企業であることから、企業の報告書などに持続可能性への取り組みを記載することにも触れられています。

目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

SDG13持続可能な開発のためには、気候変動を何とかしないといけません。少し前から日本でも地球温暖化やそれによる台風の大型化、大雨洪水、ゲリラ豪雨などが問題になっています。気候変動は地球温暖化だけではないですが、このような変動への対応力やそれができる人材を育てなければいけません。この目標の中では、すでにある気候変動対策への取り組みを総動員して、途上国であっても自然災害や危険から回避できるように取り組むことが求められています。

目標14:海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

SDG14母なる海と呼ばれていますが、海洋汚染はかつてないほど進行しています。また、海の生態系の破壊も同時に進んでしまっています。このような元に戻せないような破壊をなくしていくことが重要です。日本は島国ということもあり、海洋資源には恵まれていますが、乱獲やルールを無視した漁業に気を配らなければいけません。無秩序な漁業は、将来的に取れるはずの水産資源を減らしてしまい、生態系にも悪影響を与えてしまいます。いかに母なる海を守っていくかは大きな課題でもあります。

目標15:陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

SDG15SDG14が海についてなら、SDG15は主に陸上について触れられています。もちろん海だけでなく陸上にも生態系があります。森林や湿地の管理や保全、回復を通して持続可能な緑を守ろうとしています。また、生物の多様性についても触れられていて、密猟や外来種の防止しようとされています。日本でも外来種によって日本に元からいた生き物が駆逐されているということが問題視されています。また、密猟や行き過ぎた森林伐採は貧困が原因になっていることもあるので、問題の根本である貧困解決が重要だともされています。

目標16:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

SDG16平和な世界であることはSDGsの他の目標を達成する上で必要なことです。しかし、世界を見回してみると、理不尽な暴力や虐待、搾取、人身売買などがはびこっています。おまけに、そのような理不尽が制度や法律などで構造的に行われている場合もあります。このような理不尽をなくし平和で誰も取り残さないようにするためにも、制度や法律、条例レベルから見直していこうということがSDG16では触れられています。もちろん国際機関の強化を通して、国を超えたレベルでも実現しようとしています。

目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

SDG17SDGsの達成は誰か一人の努力ではなし得ません。あらゆる立場の組織や個人が協力しあうことで、初めてスタートラインに立つことができる、そのくらいのものです。SDG17では、資金、技術、能力強化、貿易、体制といった色々な側面で連携することでSDGsの全ての目標の達成に進んでいこうと明記されています。これは、全ての目標につながる目標でもあり、SDGsを根っこで支える目標でもあります。個人、ソーシャルセクター、企業、政府・行政、国際機関など様々な主体が連携することが求められています。

まとめ

SDGsについて雰囲気でも掴んでいただけたでしょうか?17の目標と169のターゲットとても広い領域に渡る目標でクラクラしそうですが、より良い未来のため、それぞれの立場からできることを考えるきっかけになると思います。

参考資料

[1]国連広報センター「2030年アジェンダ
[2]外務省「SDGs(持続可能な開発目標) 持続可能な開発のための2030アジェンダ