ソーシャルセクターとは何だろうか?

国際会議やアカデミックの世界、更には実践家の間で「ソーシャルセクター」という主体が取りざたされています。しかし、いまいちその実態がよくわからないし、一般によく知られているわけではないですよね。「ソーシャルセクター」とは一体何なのでしょうか?その実態について紹介したいと思います!

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企業や政府・行政に並ぶ第3の存在

最近ソーシャルセクターが徐々に脚光を浴びるようになってきたのには、企業や行政では対応しきれない社会的ニーズが増えてきたからという背景があります。例えば、貧困や格差の拡大、気候変動、環境破壊などが挙げられます。

こういった社会的ニーズを満たす価値(=社会的価値)を生み出す主体として、ソーシャルセクターの可能性に注目が集まったのです。このような経緯から、欧米では別名、サードセクター(Third sector:第3の部門)などとも呼ばれています。

そんな企業や政府・行政に並ぶ第3の存在としてのソーシャルセクターですが、大きく分けると「非営利」と「民間」という2つの特徴があると言えます。

1つ目の特徴「非営利」

非営利とは、「最終的な利潤を外部の人に分配することに部分的ないしは全面的に制限をかけている」ということです。このことは英語で「asset-lock(アセットロック)」ということもあり、ソーシャルセクターを特徴づける大きな特徴でもあります。

非営利を知るためには営利とは何かを知るとよりよくわかります。営利な組織は、企業がまさにそれにあたります。企業は事業活動をしたのち、そこで生まれた利益を株式を通して株主に「分配」をします。つまり、企業は最終的には株式の保有者に対して上げた利益のいくらかを分配しないといけず、分配しないことに対しては、株主から厳しい目で見られることがあります。そのため、利益の見込めない事業を行うことが難しいという特徴を持っているのです。

一方、非営利組織はこういった株式を発行するなどといったことをしないので、利益を分配する仕組みを持っていません。そのため、必要とあらば例え低収益であっても、その事業を行うこともできるわけです。こういった意味で、ソーシャルセクターは社会的価値を創りだすことに向いているといえます。

ただし、営利(利益を分配する)であっても様々な工夫によってできることは多く、逆に非営利組織もアセットロックがあることで急速に規模を大きくすることが難しいという欠点を持っています。現在では、この非営利ゆえの欠点を乗り越えようと、いろいろな手法が開発されてきているのが現状です。

2つ目の特徴「民間」

これまで、福祉国家の名の付く国では政府や行政が国民に社会サービスを行ってきました。つまり、公共組織がやってきたということです。しかし、今の日本のように財政難になったり、対応しきれない社会的なニーズが増えたりとしてきた中で、公の公共組織だけでなく、民間でも社会サービスを届けていこうといった動きが活発になってきました。民間でやるので、比較的自由でクリエイティブな社会サービスの提供ができるようになるという期待がかけられているのです。

具体的にはNPOや協同組合、社会的企業などのこと

ここまで概念的なお話しでしたが、具体的にどんな組織のことをいうのか気になる方もいるかもしれませんね。ここでは、ソーシャルセクターを代表する組織の主だったものを紹介したいと思います。

NPO

NPOは聞いたことがある人が多いかもしれませんね。Non-profit Organizationの略で、非営利組織といわれます。ここでいう非営利は上で説明した通りの意味です。海外ではNonprofitsやVoluntary Organization等と呼ばれています。チャリティを行うNPOから政府や自治体に対して政策提言を行うようなNPO、一定程度の事業性を持っているNPOまで様々なタイプのNPOが存在します。

このようなNPOを制度化した法人格として、日本では「特定非営利活動法人」が挙げられます。また「一般社団法人(公益社団法人)」や「一般財団法人(公益財団法人)」もこれにあたります。NPOについては、「NPOの言葉の意味を4つのパターンで考えてみた」でも詳しく解説しているのでご覧ください。

社会的企業

社会的企業は聞きなれない人もいるかもしれませんが、近年欧米を中心に注目を集めています。これは、社会的な目的のために高い事業性を備えている組織ということができます。特徴は、よりイノベーティブかつシステマティックに社会的課題を解決していこうとすることです。

いまいちピンと来ない人もいるかもしれませんが、もうイギリスではコミュニティ利益会社(Community Interest Company:CIC)が、アメリカでは低収益合同会社(low-profit, limited liability company:L3C)が法人格として制度化されています。日本ではまだそれほど整備されていないのですが、こういった議論はすでに始まっているので近い将来新しい制度が始まると期待されます。

しかし、社会的企業の定義については、研究者や実践家、機関の間でまだ共通のものがあるとは言えずバラバラです。また、定義によっては、後に紹介する協同組合を含む場合もあり、どのような法人格が社会的企業に含まれるのかについても議論が分かれています。共通の理解を作っていくには少し時間がかかりそうです。

協同組合

協同組合は、何か同じ目的のために集まった個人や組織が協同で組織を保有する非営利組織です。もう少しかみ砕けば、個人や組織がお互いに助け合うために集まって作った組織ということです。

協同組合も大きな意味では民間非営利組織なのでNPOといえそうですが、ここでは上記のNPOは主に組織の「外」の人や組織に対してサービスをしているのに対して、協同組合は主に組織の「中」の人や組織に対してサービスをしているという点で区別してあえて別々に紹介しました。

まとめ

今回は少し抽象的なお話しになりましたが、ソーシャルセクターとは何かについての紹介をしました。まとめると、ソーシャルセクターとは、「利潤の分配に部分的ないしは全面的に制限をかけた、社会的価値を追求する民間組織」であると言えます。具体的には、NPOや社会的企業、協同組合などのことを指しています。組織の分類については、切り口によってまちまちなので、一概には言えませんが雰囲気だけでもつかんでいただけたら幸いです。

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