非営利組織への誤解はなぜ広がっている?絡みあう3つの理由

非営利組織が活躍し始めてから、多くの人たちが関わりを持ったり、実際に立ち上げたりしています。しかし一方で、非営利組織への誤解は根付いものになっています。その誤解が胡散臭さを生んでしまったり、正しく力を活かせていなかったりといったことに繋がっています。今回は、非営利組織への誤解がなぜ生まれてしまうのかについて、「非営利組織が活躍するようになった経緯」や「定義の仕方」、「金融リテラシーが欠けていること」の3つの理由を挙げて解説します。

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よくある非営利組織への誤解

非営利組織へよくある誤解を挙げてみます。このような誤解は、決して珍しいものではなく、想像以上に広がっているものです。今一度ご確認いただけると嬉しいです。

非営利組織は稼いではいけない

これは営利と非営利の違いを誤解していることが原因だと思います。この違いは、組織の利益や資産を分配するかしないかです。営利は分配する、非営利は分配に制限をかけるということです。つまり、非営利組織はリターンを期待した投資を受けることはできないものの、利益を追求するプレッシャーを受けないので利益や資産を事業に再投資して事業に専念できるということです。一般的に非営利組織が得意とする事業は低収益であったり、寄付・会費で補う必要があったりするので、非営利という仕組みが都合がいいのです。

むしろ、適切にキャッシュフローをつくれるのなら、可能な限り利益を上げて、事業に再投資し拡大して少しでも受益者を増やすことこそが世のため人のためではないでしょうか。

非営利組織=ボランティア(慈善)団体

非営利=ボランティアもよくある誤解です。というより非営利という定義の仕方に問題があるのかもしれません。後ほど詳しく解説しますが、非営利は「営利にあらず」と表現します。「営利でない」と定義されるので、営利でないものは全て範疇に入ってしまいます。非営利組織とはいえ、慈善団体、社会的企業、協同組合、さらには大きな意味では行政組織まで含めてしまいます。言い換えれば、非営利という名付け方はアイデンティティがぼやけてしまう弱点を抱えています。

企業が頑張るんだから、非営利組織は必要なし!

企業が思いっきり稼いで、税金を納めてそれを財源にして政府や自治体が公共サービスをすれば万事OKではないかという意見もあります。確かに一理ありますが、これは非営利組織が登場してきた経緯や役割について誤解しています。そもそもこの考え方は経済成長と豊かな労働力を前提とした考え方です。しかし、現在は低成長が続き、少子高齢化で労働者の割合は減少しています。おまけに、福祉国家をうたう国は軒並み財政難です。このような背景の中、非営利組織は企業でも行政でもカバーできない部分を埋めようと登場してきたのです。

(誤解の理由1)非営利組織が力をつけてきた経緯

非営利組織の発展の歴史

日本で非営利組織が注目を集めるようになったのは、1995年に発生した阪神淡路大震災です。当時、震災によって支援が必要な人たちがたくさん生まれました。そんな彼らをなんとかしようと多くのボランティアが全国から集結しました。しかし、その時たくさんの寄付が集められたり、物資が届けられたりしましたが、その管理をするのが個人でした。これでは、正しくお金や物資、人材が管理されているのか、契約対象として信頼性はどうなのかという課題が浮上しました。このことを追い風にして、特定非営利活動促進法(NPO法)が1998年に成立・施行されるに至りました。

2011年に東日本大震災が起こった時も、たくさんのNPO法人をはじめたくさんの組織や個人が支援に向かいました。2011年には寄付税制が改正され、そのようなプレイヤーの活動をより後押しするようになりました。

このような経緯だったからこそ、NPO(NPO法人)とボランティア(慈善)活動は切っても切り離せない状態で発展してきました。ですが、確かにボランティア(慈善)活動は非営利組織を特徴づけるものであるものの、それ自体が非営利組織の本質ではありません。

(誤解の理由2)定義の仕方がネガティブだから

正しい定義が重要

非・営利という名称もあまり明確な定義ではありません。というのも、「営利に非(あ)らず」つまり営利ではないという定義の仕方になっています。「〜ではない」というネガティブな定義は明確にアイデンティティを示すものではないので、何をさしているのかがぼやけてしまう危険性があります。ちなみに、非政府組織の略であるNGOも、「〜にあらず」という定義の仕方になっています。

このことを、もう少し具体的に考えてみましょう。例えばあなたの名前がAさんだとします。学校や職場で先生や上司に「Xさんじゃない人」と呼ばれたときどう思うでしょうか?「え?自分のこと?」とか「BさんやCさんも含めるの?」となりませんか?このピンっとこない感じが、NPOやNGOという定義にはあるのです。言い換えれば、アイデンティティが曖昧で、何者なのかといった部分がぼやけていると言わざるを得ません。このため色々な人が好き勝手解釈してしまったり、本当は多様なタイプがあるはずなのに一緒くたにして捉えてしまい余計混乱してしまうということが起こってしまうのです。

最近ではこのような状況を受けて、国際舞台を中心に、市民社会組織(Civil Society Organization:CSO)やソーシャルセクター、市民セクターなどと呼ばれることが増えてきました。

(誤解の理由3)金融リテラシーが欠けているから

金融の知識を身に付けている

営利と非営利の違いを考えてみると、投資家の存在や資産の扱い方などに違いがあります。このことをちゃんと理解しようとすれば、最低限度の金融リテラシーが必要です。なぜなら、「営利」が分からなければ、営利ではない「非営利」も理解できないからです。

営利を理解するには、投資とは何か、株式とは何か、リターンとは何かなどなどの知識が必要です。これらの知識は、専門的なものではなく、世の中の動きを知るためにも必要なものです。また、これらは資本主義とはどんな仕組みなのかを知るためにも必要なことです。

ですが、注意がいるのは、非営利組織の理解は経済面からだけでは不十分だということです。非営利組織が色々なステークホルダーの参加を促したり、社会サービスを開発したりという側面は特徴的なことです。

とはいえ、基本的な部分をちゃんと知ろうとすると最低限の金融リテラシーが必要です。非営利組織は資本主義の取りこぼしを補完する存在であるということを聞いたことがあるかもしれません。であれば、なぜ資本主義が取りこぼしを生んでしまうのか?ということを知らなければいけませんよね。

金融教育をしっかりすべき

営利や非営利の性質や特徴について、研究者や専門家でないと知らないという状態では、営利や非営利のいづれも世の中に正しく普及して活躍することはできないでしょう。そういった意味では、基本的な金融教育を学校教育でしっかりしておくことが必要でしょう。これは、この文脈だけでなく、長い目で見た時に生きる力にもつながります。

その上で、寄付やボランティアの意義について伝えていけば、より深いレベルで理解が進むのではないでしょうか?

まとめ

今回は、非営利組織への誤解がなぜ広がっているのかについて解説しました。

  1. 非営利組織が発展した背景
  2. 定義の仕方がネガティブだから
  3. 金融リテラシーが欠けているから

以上の3つを挙げました。
これから正しい理解が進むことが、たくさんの実践や支援が生まれるために必要なことだと思います。

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