ソーシャルセクターと公共財のいい関係

2017-05-08

ソーシャルセクターについては、ソーシャルセクターとは何だろうか?」で解説しました。
日本だとNPOと呼ばれることも多いですが、社会的企業や慈善団体、協同組合などのことを指しています。

このような主体の役割についてはいろいろ議論があるのですが、今回は経済学という、少し違った角度からソーシャルセクターの強みを考えてみたいと思います。

世の中の商品やサービスには2種類ある

経済学によれば、世の中の商品やサービスの種類には2種類あるとされています。一つは私的財、もう一つは公共財です。この二つの財を分類する基準は、「排除性」と「排他性」の2つの性質です。まずはこの2つの性質について解説した後、私的財と公共財について解説します。

排除性について

排除性とは、対価の支払いが不可能な場合は、購入することができないという性質を指します。
例えば、100円のコーラを買おうと思っても、手元に90円しかなかったら手に入れることはできないですよね。このような性質のことを排除性と言います。

この性質があるからこそ、企業は商品が売れればとりあえずは対価を受け取れるわけです。しかし、生活に必要不可欠な商品やサービスの場合、経済的に貧しい人は十分に購入できない状況になる可能性もあります。

競合性について

競合性とは、文字通り早い者勝ちの性質を指します。
具体例を挙げるならば、コーラが10本しかない場合、11番目に買いに来た人はコーラを手に入れることができないといったことが挙げられるでしょう。売り切れが発生するのはこの性質があるからです。

企業が生産する商品には数に限りがあり、誰かが購入・消費すれば数は自ずと減ってしまいます。ここでも生活に必要な商品やサービスが早いもの勝ちだった場合、どうでしょうか?当たり前のように見えますが、重要な性質と言えます。

私的財

私的財は「排他性」と「競合性」の二つを満たす財のことです。
コーラの例のように、対価を支払うための十分なお金を持っていない場合や、売り切れてしまった場合は手に入れることができません。

実は、民間企業が供給している財はこの私的財がほとんどです。経済学や資本主義といった考え方も、この私的財が前提となっています。

公共財

公共財は「非排除性」と「非競合性」のいづれか、もしくは両方を満たすものです。

例えば、国防や警察といったものは、別段お金を支払ったり売り切れたり定員があったりするわけではありませんよね。公共財の多くは安定した生活を送るために必要なものが多いので、これらは特定の範囲の人たちとの間で共有できて、享受できなければいけないものであると言えます。だからこそ、みんなで税金を支払って支えているのです。

また、細かく分けると、「非排除性」と「非競合性」の両方を備えている純粋公共財、「非排除性」のみを備えているコモンプール財、「非競合性」を備えているクラブ財の3種類が存在します。

ソーシャルセクターが注目される理由

では、ソーシャルセクターが力をつけてきたのにはどのような背景があるのでしょうか?経済学の観点から見ると公共財の影響がありそうです。

公共財の提供が間に合わなくなった

既に解説したように私的財は企業によって社会に供給されることが多いものです。一方、公共財はこれまで政府や行政によって社会に供給されてきました。しかし、公共財に対するニーズは日々多様化しています。また、まともに対応していると経費が際限なくふくらみ、財政難になることは避けられません。このようなことから、政府や行政による公共財の供給が間に合わなくなってしまうという状況になってしまいます。

民間で公共財を提供できる主体が登場

このような状況を受けて、政府や行政のような公の存在だけでなく、民間で自ら公共財を社会に供給できるようにしようという動きが活発になりました。

しかし、企業は私的財の供給には向いていますが、公共財の供給には向いていません。このことを市場の失敗と言いますが、だからこそこれまで政府や行政によって公共財が供給されていたのです。つまり…

公で間に合わなくなったから、民間にももっと参加してほしい

でも、民間の主体の1つである企業はそもそも向いていない

???

という状況になってしまいます。
そこで、第3勢力「ソーシャルセクター」の登場という流れになります。

民間主体は営利組織である企業だけではありません。民間の非営利組織も存在しています。加えて、ソーシャルセクターが次々と新しい手法や戦略を作り出していることも、NPO等の台頭に拍車をかけていると言えます。

ソーシャルセクターが公共財の供給に向いているのは、その非営利性ゆえだと言えますが、「ソーシャルセクターが社会を変える5つの理由」で詳しく解説しているので合わせてご覧になってください。

まとめ

今回は、ソーシャルセクターと公共財のいい関係について解説しました。
ソーシャルセクターが公共財の供給に向いているからこそ、近年注目され力をつけていると言えます。これに関連した内容は「【受益者負担の原則】非営利と営利の境界線とは?」でも解説しています。

このような流れは、まとめると近年のソーシャルセクターが注目される動きは「公共財の提供体制を作り直す」ことを目指しているといえるでしょう。