【要注意】NPOはあくまで手段。大切なことはその先に。

よくNPOを始めるとか、NPOをやるとか言いますが、このような考え方は果たしていかがなものでしょうか。NPOが目的となってしまってはいないでしょうか?今回はNPOとは何ぞやといったところから、NPOが事業を行うための手段であるということを解説したいと思います。

NPOと事業は分けて考えるべき

まずNPOについてよく理解するために、公共財非営利についてまとめてみます。この2つはNPOについて理解する助けになります。

公共財について

公共財については、「ソーシャルセクターと公共財のいい関係」でも解説しています。簡単にまとめると公共財とは、非排除性と非競合性の両方ないしは片方の性質を持つ財のことを指します。また、両方の性質を持たないものを私的財と言います。ちなみに財とは、何かの効用を持っているものを指します。

公共財としての医療サービス、教育サービス、介護サービス、防衛、公衆衛生などは、安全で安定した生活を営む上で重要な財であると言えます。そのために、これまでは政府や行政が公共財を市民に対して提供してきました。

しかし、社会的なニーズが多様化・複雑化し、財政難が深刻になる等政府や行政による公共財の供給が難しくなったという現実があります。そこで、民間で公共財の供給に向いているNPO等のソーシャルセクターが台頭してきたという背景があります。

非営利について

NPOとは何かについては「ソーシャルセクターとは何だろうか?」でも簡単に解説しています。最も特徴づけるものとして「民間である」ことと「非営利」が挙げられます。

非営利とは、組織内部にある資産の外部の人々への分配を制限をするという性質を指します。これは「非営利ではない」、つまり「営利」とは何かを考えるとわかりやすいでしょう。営利組織の代表例は株式会社です。株式会社は株式を通して、利益や資産を株主に分配します。非営利組織はこれを行いません。この違いが、それぞれの特性や強み、弱みを規定しています。

公共財と非営利の関係

ここまで、公共財と非営利性について簡単にまとめました。
ここで注目すべきは、公共財は市民に対して提供される「財の性質」であり、非営利性とは何かの財を提供する「組織の性質」であるということです。つまり、全く別々のものだということが言えます。

NPO(民間非営利組織)によって教育サービスや介護サービスなど公共性の高いサービスが提供されていますが、多くの場合これらは公共財であるといえるでしょう。このことから、NPOなどのソーシャルセクターはこのようなサービスをするものだというイメージがついたのでしょう。しかし、財の性質と組織の性質を分けて考えれば、営利組織である株式会社でもいいのではないか?という考え方もできます。言い換えれば、もう少し幅のある検討ができるのではないかということです。

組織は戦略に従う

「組織は戦略に従う」はチャンドラーという経営学者の言葉です。ここまでの話をまとめると、この言葉がピッタリだと思います。結論として、以下の3点にまとめてみました。

NPOは公共財の提供に向いている

公共財がこれまで政府や行政によって提供されていたのは、企業には向いていない財だからです。だから、税という形で共同して負担しようという考え方になりました。

しかし、政府や行政では間に合わなくなっている今、民間でも公共財の供給ができるプレイヤーが求められ、非営利という仕組みに注目が集まったのです。非営利組織であれば、低収益事業でも実施できます。また、支援者を獲得し適切に巻き込むことで事業の実施も可能です。この点で、公共財の提供に非営利組織が向いていると言えます。

公共財の提供は非営利組織の専売特許ではない

とは言え、NPOの専売特許というわけではありません。

既に解説した通り、政府や行政によっても提供されてきました。
企業でも工夫次第で介護などのサービスがされていますし、テクノロジーの進化によって低コストで、これまでできなかったサービス提供ができるようになってきました。

公共財だからとか、公共性が高いから、ソーシャルセクターでなくては!という考え方は、結論を急ぎ過ぎであると言わざるを得ません。

結局誰に何をしたいかで、組織の性質を決定すべき

このように考えてみると、結局誰に何をしたいのかで、組織の性質や形態を考えるべきだと言えます。対象にした人が何に困っているのかを調査して事業を考え、その事業を実施するために営利組織がいいのか非営利組織がいいのかを決めるべきだといえるでしょう。

あくまでNPOなどのソーシャルセクターは公共財の提供に「向いている」という話であって、営利組織である株式会社でもいいかもしれません。事業の性質や展開について戦略的に考える必要があります。

まとめ

今回はNPOはあくまで事業を行うための手段であり、大切なことはどのような事業を行うのかということを解説しました。事業の戦略によって、組織の形態も非営利なのか営利なのかを決定することが大切です。