NPOとNGOに違いはあるの?用法から考えるアイデンティティ

NGOとNPOの違いは何でしょうか?このような疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。日本ではこの両方の用語が使われており、近いような違うようなという微妙な使われ方をされています。今回はNPOとNGOの違いについて解説します。

NPO

まずはNPOについてです。日本では比較的こちらの方がよく使われますが、実のところどのようなものを指しているのでしょうか?

Non-Profit Organizations(非・営利組織)の略

NPOは非営利組織と訳されます。よくNot-for-Profit Organizationsの略を指している場合も多いです。非営利とは「組織内の資産(財産や収益)を外部の人に分配しない」ということをさします。つまり、収益を上げること自体は全く問題ないのですが、その収益分はもれなく事業へ再投資することが求められているということです。

これは、組織自体が特定の誰かの持ち主というわけではなく、様々なステークホルダー(利害関係者)の声を反映させるための仕組みと言えます。この仕組みを備えた組織のことをNPOと言います。

法人についてさすこともある

日本では1995年に「特定非営利活動促進法」という法律が制定されました。NPO法と呼ばれることも多く、この法律によってNPO法人という法人格が認められるようになりました。そのためこの法人を指す際に使われることも多いです。

ですが、非営利組織へ与えられる法人格はこれだけではなく、「一般社団法人」や「一般財団法人」「社会福祉法人」「医療法人」などたくさんあります。

NGO

さて、NGOはどうでしょうか?なんとなく国際関係の分野で使われそうなイメージがある人も多いのではないでしょうか?

Non-Governmental Organizations(非・政府組織)の略

NGOは非政府組織の略語です。「政府に非ず」ですね。そもそもの由来を知ると、意味がよく分かります。

国際援助の主体は主に政府(国家)でした。国家間による援助がメインだった時には、その援助の効果を調べると政府が行った分だけの効果が出るはずです。しかし、ある時期を過ぎたあたりから、自分たち以外の主体による効果があることが徐々にわかってきて、しかも年々それが多くなってきたのです。当初、それが誰の仕業なのかまではっきりと分かりませんでした。そこで、少なくとも自分たち(政府)ではない主体による効果なので、それらの組織のことを「政府に非ず」な組織、Non-Governmental Organizationsと名付けたのです。

海外ではメジャー

アメリカやヨーロッパ、国際機関の場では、むしろNGOの方をよく使います。NPOは欧米ではマニアックな言葉らしいです。

例えば、国際連合でもNGOを資格認定し、協議などに参加できるようにしています。このように、国際的には、市民の声を反映し、自分たちの望む社会を作っていくための主体として期待されていると言えます。

結局、同じものを違う角度から見ているだけ!

ここまで、NPOとNGOのそれぞれの紹介をしてきましたが、結局のところ何が違うのでしょうか?どうやら、NPOは国内で、NGOは海外で事業をしている非営利組織を指しているようです。ですが、同じではないかという見方もできそうです。その理由になりそうな点を以下にまとめてみます。

社会サービスの供給主体である

どちらも社会サービスの供給をしているという点では同じです。これについては「社会サービスとは」で詳しく解説していますが、生活に密着し、基盤を支えるもので、生活の安心・安全を保障するサービスです。

社会サービスの供給主体としてみれば、両者とも同じものであると言えます。高齢者、障害者、マイノリティー、子供、外国人、難民などの支援の必要なあらゆる人々を対象としています。

市民のための組織

非営利という仕組み上、最もユニークな特徴はあらゆるステークホルダー(利害関係者)の参加が可能であるという点です。前にも解説していますが、これによって一部の人々だけでなく基本的にはあらゆる人々からの声を生かして事業を実施したり、政策提言を行ったりしています。誰でも参加できるということは、様々な人々の社会参加を促すことであり、各人が社会の構成員としての市民の役割を果たすことにもつながります。

積極的な定義が必要になっている

NPOとNGOの両者には大きな違いはなく、本質的には同じではないかというのがここでのお話でした。では、なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?

おそらくその理由は、定義の仕方にあるのでしょう。両者の定義のところを思い出して欲しいのですが、両方ともに「Non(非)」が付きます。つまり「〜ではない」という消去法のような定義の仕方をしているのです。これでは、アイデンティティや個性といったものは見えてきません。名は体を表すということわざがある通り、名前をないがしろにすることはできません。

そんな中、今世界では改めて再定義する動きも見られます。例えば、国連ではCSOという用語を使うようになっています。これは、Civil Society Organization(市民社会組織)の略で、市民社会を構成する主体として積極的に定義されています。また、Social Sector(ソーシャルセクター)という用語も使われます。これについては、「ソーシャルセクターとは何だろうか?」で解説しています。

このように、一体どのようなアイデンティティを持った組織なのかについてしっかりとした議論が必要ではないでしょうか?

まとめ

日本では、国際援助をしている非営利組織をNGO、国内で事業をしている非営利組織をNPOと呼ぶことが多いです。しかし、本質的にはこの二つに違いはなく、むしろ同じものではないでしょうか。

そして、「非(あらず)」ではなく、もっとアイデンティティを明確に表すような定義の仕方が必要なように思われます。これが今後重要な役割をになっていくにつれて大切になってくると思います。今回は、「NPOとNGOに違いはあるの?定義から考えるアイデンティティ」でした。