社会的インパクト評価で使われる主なツール3選

2016-11-03

社会的インパクト評価を測定する際、そもそも何が社会的インパクトなんだ?となってしまうことが多いでしょう。この社会的インパクトを定義することをサポートしてくれるお助けツールがあります。今回はその中でも選りすぐりを3つ紹介したいと思います。

セオリー・オブ・チェンジ/Theory of Change

直訳で「変化の理論」となるセオリー・オブ・チェンジですが、まさしくその通りで現在の社会環境の中でどのようにしたら、望む変化を生むことができるのかを明確にすることができるフレームワークです。

慈善団体や社会的企業のような組織はともすれば、日々の日常業務に追われてそもそも自分たちが何を目指していたのかを見失いがちです。特にこれらの組織は、一般的な企業と異なり、どれだけ社会的価値を生み出せたのかを最重要視しているので、ミッションを見失うことは存在意義を見失うことにつながります。

そこでセオリー・オブ・チェンジは、事業が目指すゴールへ到達する道筋を示してくれるので、このような状況を回避することができます。

セオリーオブチェンジは戦略策定の必需品」でも詳しく解説しています。

セオリー・オブ・チェンジのメリット

セオリーオブチェンジのメリットは主に5つあります。

1つ目は、どのような事業が目指すゴールを達成するのに必要なのかを明確にできること。
2つ目は、逆に何をすべきでないのかを明確にすること。
3つ目は、自分たちのみでできること、自分たちのみではできないことを明確にすること。
4つ目は、社会的インパクトをどのように計測するのかを明確にすること。
5つ目は、外部の協力者や関係者とのコミュニケーションを円滑にすること。

セオリー・オブ・チェンジの作成手順

セオリーオブチェンジの作成手順やフォーマットに関しては、多くの流派のようなものがあり若干異なってきますが、主には以下の手順で作成します。

1:自分たちの目指すべきゴールを明確にする
2:事業の対象者を特定する
3:対象者の取り巻く環境を分析する
4:どのような事業が効果的で、そのためにどのリソースが必要かを棚卸しする
5:ゴール達成までの期間を設定し、2~3年間でどのようなアウトカムが必要かを整理する
6:アウトカムを測定するための指標を特定する
7:どのような外部の組織と連携すべきかなどの戦略へ落とし込む

ロジックモデル/Logic Model

ロジックモデルは事業が社会的インパクトに繋がっていく因果関係を説明したものです。
セオリー・オブ・チェンジが、事業の内容や戦略を考えるためのものなら、ロジックモデルはその事業や戦略がしっかりとインパクトに繋がっているものかどうかを検証するためのものであるといえるでしょう。

基本的にロジックモデルを構成する要素は「投入 / インプット」「活動 / アクティビティ」「結果 / アウトカム」「成果 / アウトプット」「インパクト / 波及効果」の5つです。ロジックモデルも様々な作り方やフォーマットがあるので一概には言えませんが、おおむねこのような要素によって構成されます。

ロジックモデルの各要素の詳細

投入 / インプット 事業に投入される資源について指します。資源とは、人材や資金、ネットワーク等のことを表しています。
活動 / アクティビティ 具体的な事業を実施するにあたっての活動を指します。
結果 / アウトプット 事業の結果として産出される直接的な成果物のことを指します。例えば、イベントへの参加人数や出荷数などが該当します。
成果 / アウトカム アウトプットが事業の対象者へ与える影響を指します。例えば、学習意欲の向上や収入の増加などが該当します。
インパクト / 波及効果 最終的に事業の対象者へ与える影響を指します。長期的アウトカムや最終アウトカムなどとも呼ばれ、厳密には外部要因を差し引いた、純粋に事業の与えた影響のことを指します。

 

システム思考

システム思考は、特定の事象の見えている部分だけでなく、要素のつながりを通して全体を俯瞰することで解決策を見つけようとする思考法です。

セオリー・オブ・チェンジで、対象者の取り巻く環境を分析する時やどのような事業が必要なのかを考える際に、このシステム思考が効果を発揮します。

システム思考のツール例

氷山モデル

氷山モデルは、事象の背後にある因果関係を表すためのツールです。

「出来事→パターン→構造→メンタルモデル」の順により深い原因になっていき、深いレベルでの問題解決がより効果的であるとされています。

ループ図

ループ図は、事象のパターンが起こる構造を明確にするためのツールです。

特にこのツールにおいて重要なことは、レバレッジポイントを見つけ出すことです。レバレッジポイントとは、より少ない力でシステム全体を大きく変えることのできるポイントのことをいいます。このポイントを見つけ出すことでより大きな社会的インパクトを生み出すことができます。

時系列変化パターングラフ

出来事に至る変化を時間軸を用いてダイナミクスを見える化するものです。

このツールで、どの程度の時間の範囲でどのような要因が絡み合っているのかを明確にできます。

まとめ

今回は、社会的インパクト評価の際に便利なツールを3つ紹介しました。

人は頭の中だけで考えていては、思った以上に考えが進まないものです。今回紹介したようなツールを使いながら、抜けや漏れの無いように議論を進めていけるといいでしょう。