シェアードメジャメントの3つのモデル

2017-01-28

場面別!シェアードメジャメントの機能」では、シェアードメジャメントの機能を3つのシチュエーション別に紹介しました。この他にもFSG Social Impact Adviserという国際的なコンサルティング組織がシェアードメジャメントの3つのモデルを発表しています。今回はこの3つのモデルについて解説します。

シェアードメジャメントにも色々ある

シェアードメジャメントは、複数の組織や事業の間で社会的インパクト評価のプロセスや指標を共有することを言います。実は、このコンセプトやシステムに関しては、これを利用している組織に対して何を提供するのかによって、様々なモデルが考えられています。それぞれのモデルは目的、カバー範囲、参加組織の性質などによって分類されます。

この分類は、FSG Social Impact Advisorsが世界中の20個のシェアードメジャメントの事例を集め分析した結果明らかになったものです。

Shared Measurement Platforms/共有評価のプラットフォーム

目   的: 効率性の向上
カバー範囲: 非常に広範な分野

共有評価プラットフォームでは、参加組織に対して「データを集めるツール」と「技術的な支援」を提供します。

単体の組織で指標を設定しデータ収集をすると、それなりのコストがかかってしまいます。共有評価プラットフォームがあれば、このようなコストを削減し、より低コストで社会的インパクト評価を実施することが可能です。また、専門家や実践家の知見を集中させることができるので、指標や評価自体の質と信頼性の向上が期待できます。これによって、評価を活用した外部の関係者とのコミュニケーションが円滑になることが期待できます。

幅広い指標(とそのデータ収集の方法)のリストからそれぞれの組織が選択し各自で社会的インパクト評価を実施するところに、このモデルの大きな特徴があります。ですので、各自が行った評価の知見を集め蓄積することができます。

Comparative Performance Systems/業績比較システム

目   的: 知識の増加
カバー範囲: 特定の活動分野

業績比較システムは、その名の通り同じ評価指標を活用することで異なる組織の業績を比較できるようにするものです。

共有評価プラットフォームの場合、それぞれが評価を行うものの、それが他の組織と比較される保証はありません。他の組織の成果と比較したりベンチマークしたりすることで得られる知見は計り知れません。この点をクリアしているのが、比較業績システムです。

このモデルのシェアードメジャメントでは、同じ土台の上で社会的インパクト評価を実施することで参加組織の知識を増やしていけます。また、特定の分野全体としてどのような社会的インパクトを生み出したのかを発信することもできるようになります。

Adaptive Learning Systems/適応学習システム

目   的: インパクトの増加
カバー範囲: 特定の社会課題

適応学習システムは、複雑(Complex)な問題に立ち向かうときに大きな力になります。
なぜなら、複雑な問題に対して異なる角度からアプローチしている組織間で、協力しながら課題を定義し、指標を設定し、目標の連携を行うからです。「コレクティブインパクト」の考え方とほぼ同じですね。

このモデルは、他の2つのモデルと比べ、参加組織間での合意やより専門的な支援が必要になり手間がかかります。しかし、より大きな社会的インパクトを生み出せたり、事業の改善に情報を提供したりできるメリットを考えれば元が取れると言えるでしょう。

特にこのモデルでは、事業や目標を連携させた組織間でどのような事業が効果的なのかについて、それぞれが学習することを促すのでイノベーションの源になることが期待できます。FSGもシェアードメジャメントは適応学習システムを目指すべきだとしています。

長所と短所

シェアードメジャメント/共有評価、5つのメリット」では、シェアードメジャメント全般に関わるメリットを解説しています。ここまでお読みいただいた方には、薄々感じている方もいるかもしれませんが、各モデルで重きが置かれているメリットが異なっています。

個別に社会的インパクト評価をするよりも、共有した方がより効果的であるという根本的なメリットは同じですが、効率性やコスト削減に重きを置くのか、知識や知見を集積していくのか、参加組織での学習を加速させるのかとそれぞれに得意分野が分かれています。

同じようにそれぞれに短所もあります。
例えば、共有評価プラットフォームは、広い範囲をカバーできているものの比較することが難しいという短所を持っています。業績比較システムは、比較はできるものの特定の分野に絞らなければなりません。適応学習システムに関しては、関係者間でのコンセンサスをとったり、参加組織の高いコミットメントが必要だったりと手間がかかります。

結局のところ、どのモデルのシェアードメジャメントを活用するのかは、その場その場でどのモデルが必要なのかを考えていく必要があるのだと思います。

まとめ

今回は、シェアードメジャメントの3つのモデルについて解説しました。
どのモデルのシェアードメジャメントでも、ただそれぞれを足し合わせるよりも大きな社会的インパクトを生み出すために活用されるという点では同じではないでしょうか?

シェアードメジャメントの威力を少しでも感じてもらえたら幸いです。

参考文献

・Kramer,M et al(2009)Breakthroughs in Shared Measurement and Social Impact.
・Cabaj, M(2012)Collective Impact & Shared Measurement Tough but Necessary.