社会的インパクト評価の推進に向けたロードマップ、発表!

社会的インパクト評価の推進に向けたロードマップは、社会的インパクト評価イニシアチブが作成した、2020年までのアクションプランと達成目標についてまとめられたものです。これからの日本での社会的インパクト評価の普及と推進を方向付けるこのロードマップについて、作成された背景と概要について解説します。

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社会的インパクト評価についての復習

社会的インパクト評価とは、内閣府では「事業や活動の短期・長期の変化を含めた結果から生じた社会的・環境的な変化、便益、学び、その他効果を定量的・定性的に把握し、事業や活動について価値判断を加えること」と定義されています。なかなかややこしく書いていますが、簡単にいうと、どの程度事業や活動が成果をあげることができたのかを考えることです。

事業の結果としてどのような成果をあげられたのかを評価(価値判断)し、事業の改善や外部への説明、資源の振り分けなどに活用することが狙いで、世界的には、資金の出し手が中心になり、官民巻き込んだムーブメントが起こり始めています。

しかし、日本では評価をしようにも必要な能力や資金が足りず、事例も少ないと行った現状があります。そんな中、2016年に社会的インパクト評価を推進するためにの組織が立ち上がり、様々な取り組みを始めました。

社会的インパクト評価イニシアチブとは何者?

社会的インパクト評価イニシアチブのウェブサイトでは、

日本において「社会的インパクト評価」を普及させるために、社会的インパクト評価の現状や課題、将来の目指すべき姿やそれに向けた取組などについて議論し、実行を主導するプラットフォームとして「社会的インパクト評価イニシアチブ」が設立されました。

と説明されています。

2016年6月に設立されて以来、社会的インパクト評価を推進するために以下のような事業を行なっています。

  • シンポジウムの開催
  • ウェブ上にリソースセンター開設
  • 日本語によるセオリーオブチェンジやロジックモデルなどのツールの手引書の整備
  • 評価事例の蓄積とピアレビューによる知識の共有

ロードマップが作成された目的

社会的インパクト評価の普及に関わる取り組みは全国各地で始まりつつあります。しかし、それらの取り組みがてんでバラバラに行われていたら、日本全体で考えると非常に非効率です。そこで、どのように取り組んでいくのかの流れを明確にして、各自がそれに沿うような形でできれば、全体として効率よく取り組みが連携していきます。このロードマップは、このような目的のもとで作成されたものです。

ちなみに、これは日本だけの動きではなく、イギリスでも同様の動きがあります。2011年に始まったInspiring Impact Projectという取り組みがイギリスでの普及に一役買っていて、日本でのこの一連の動きもイギリスの例を参考にしたものと言えます。

ロードマップの特徴

このロードマップには、3つの特徴があると発表されています。

(1)2020年に目指すべきビジョンとそのために必要なアクションを具体的な数値、時期を含めて明示
有志により新たにプロジェクトを立ち上げ、アクションを開始します。

(2)進化するロードマップ
各プロジェクトの進捗状況をチェックするとともに、必要なアクションについては適宜改訂を行っていきます。

(3)マルチセクター・イニシアチブで策定したロードマップ
策定に加え、実行、管理においても、多様なステークホルダーが行っていきます。

引用:社会的インパクト評価イニシアチブ「最新情報・イベント」

これらの特徴を見てみると、なるべく広い範囲から多くの人の意見を反映させようとしている姿勢が垣間見えます。ですが、重要なことは、ロードマップを発表した後、具体的なアクションに移った段階でどれだけオープンにできるかということは言うまでもありません。

「社会的インパクト評価の推進に向けたロードマップ」の中身

このロードマップには2020VISIONとして、以下のように設定されています。

2020年までに、社会的インパクト評価を広く社会に定着させ、社会的課題の解決を促進させます。

このビジョンの下、3つのテーマが設定されています。それぞれのテーマには具体的なアクションプランとそれらが2020年までに達成すべき目標が設定されています。

(テーマ1)社会的インパクト評価文化の醸成

このテーマは、評価を行うための文化を作っていくことに焦点が当たっています。いくら評価が意義のあるものだとしても、それが理解され受け入れられなければ意味がありません。そこで、「事業者」「資金提供者」「社会的認知」の3つの小テーマに対してアクションプランと目標が考えられました。それぞれのテーマに対する目標は具体的には以下のようになっています。

「事業者」と「資金提供者」について:

  • 社会的インパクトを志向する組織が全国で1000団体以上存在すること。

「社会的認知」について:

  • 認知が年代や階層を超えて広がり1割を超える認知があること。
  • 評価に基づく運営が事業者の信頼性に結びつくようになっている。

(テーマ2)社会的インパクト評価インフラ整備

評価に必要なリソースを使えるインフラを整備することについても言及されています。具体的には、「評価人材の育成」「評価手法の確立」「評価支援体制の整備」の3つの小テーマに分けられて、アクションプランと目標が作成されました。目標は以下のようになっています。

「評価人材の育成」について:

  • 全国で1000人が基礎研修、100人が実践研修を受けている。
  • 専門講座の開設。

「評価手法の確立」について:

  • 社会的インパクト評価を活用する団体の80%がガイドラインや手引きを活用。
  • NPO法の20分野(例)で共通的な指標が整理・活用されている。
  • インパクト志向原則に同意した資金提供者の内90%が評価コストを支援している。
  • 評価支援基金が設立され支援している。

「評価支援体制の整備」について:

  • リソースセンターに1000件の評価事例がアップされている
  • ピアネットワークに1000名が加盟し、5000件のレビューが行われている

(テーマ3)社会的インパクト評価事例の蓄積・活用

日本での社会的インパクト評価の実例や参考資料などは、極めて少ないと言わざるを得ません。と言うより、ほぼありません。そんな状況ですので、色々な具体的な事例の蓄積が必要になってきます。

ここでは以下のように目標が考えられています。

  • 多様な社会的インパクト評価事例があらゆる地域で1000事例蓄積され、活用されている

まとめ

今回は、「社会的インパクト評価の推進のためのロードマップ」について紹介しました。今後の日本でも推進や活用がどんどん進んでいくと思われます。しかし、すでに書いたように、大切なのはこれからです。具体的な取り組みが各地に生まれていく中で、どれだけ地方も含めた日本社会に浸透させることができるのか、そして立場の違う人たちがどう連携して進めていくのかといった点が勝負になっていくことでしょう。この考え方はコレクティブインパクトに近いものがありますね。

個人的にも、色々な側面からこのムーブメントに貢献できたらと思っています。ぜひ、記事を読んでいただいたあなたにもそう思っていただけたらと思います。

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