社会的インパクト評価、7つの活用レベル

いざ社会的インパクト評価を活用しようとしてもいきなりできるものではありません。段階を踏んで次第に活用できる段階やステージを上げていくことが必要になります。今回解説するのは、社会的インパクトの活用レベルの段階についてです。

各段階の特徴について、説明しているので、今、所属しているNPO/社会的企業や関わっているNPO/社会的企業がどの段階で、どのようにすればより高いレベルで社会的インパクト評価を活用できるのかを考えてみましょう。

Level 0 : 社会的インパクト評価が活用されていない

このレベルはほとんど社会的インパクト評価に意識が向いていないか、その余裕がない段階です。設立間もない非営利組織をはじめとする多くの組織がこのレベルだと言えます。

しかし、これはネガティブなことだけでもありません。
やることに意味があると感じている場合や伝統的なチャリティを重んじる場合は、特に強制されるものではないからです。

もっと大きなインパクトや本質的な変化を目指す場合、これ以降のより高いレベルで社会的インパクトを活用していく必要があるでしょう。

 

Level 1 : 社会的インパクト評価を説明するために利用する

このレベルの組織は、寄付者や助成団体、委託元などのような外部の関係者に対しての説明責任に応えるために社会的インパクト評価を活用している段階です。この段階の多くの組織は測定する基準や指標をその場その場で決めていて、その場しのぎの感が否めないといったイメージが持たれます。

また収集するデータもアウトプットに関するものが多いのも特徴です。これは、商品やサービスをどのくらい作ったのか等といったような「やったこと」に主眼が置かれており、商品やサービスがどのくらいの成果や効果があったのかというところまで説明できていないということを意味しています。

総じて、受け身である印象が強くなり、外部の関係者が求める成果を出していることを説明することに重点を置いています。

 

Level 2 : 社会的インパクト評価で進捗をモニタリングできる

この段階の組織はレベル1の段階からさらに、自分たちの組織の事業がどのようなインパクトをもたらすのかを理解して、それを対外的にも説明できます。

自分たちの事業が目指すインパクトを明確にできているため、そのための指標を特定し、データを集めて、さらにモニタリングができるようになります。

このレベル以上の組織は、アウトカム(成果)の測定にフォーカスしていて、成果志向が強くなっており、社会的インパクト評価に対して主体的に取り組んでいると言えます。

 

Level 3 : 社会的インパクト評価を目標達成のために活用できる

この段階では、どのような成果を求めるのかということの定義やそれを測定するためのデータ収集の標準化された方法を持っています。これは、インパクトの測定に対して、「このデータをこうやって取ればいい」という手順がはっきりしていることを意味しています。

また、データを集める際に、「その時点での成果を計測すること」と「達成したい目標と比較してどの程度進展したかという進捗を知ること」の2つの目的をもっています。

社会的インパクトの評価にも様々な手法があるのですが、そのような様々な社会的インパクト評価の手法を駆使して、自分たちの事業がちゃんと成果に結びついていて、目標に向けて進んでいるのかを知ろうとします。そして、それを外部の協力してくれる人たちに分かりやすい形で説明するのです。

 

Level 4 : 社会的インパクト評価を組織全体に統合している

この段階までくると、組織の様々な活動に社会的インパクト評価が組み込まれて、もはや息をするように行われます。

どの程度の成果を上げたのかという視点が、組織内部のマネジメントなどにも生かされるようになり、より組織の活動全体に社会的インパクト評価が統合されていきます。例えば、人事評価や給与額の審査、財務分析などにも社会的インパクト評価を活用します。このようにして組織のパフォーマンス全体を改善していきます。

また、直接的な1次的なインパクトだけでなく、間接的な2次インパクトまで計測するための仕組みを備えていることもあり、より成果に積極的な姿勢が見られます。2次的な社会的インパクトは間接的であるが故に、なかなか難しい部分がありより専門的なスキルが必要になる場合も多く、ここまでできるとかなり広範な社会的インパクトの測定が可能になります。

 

Level 5 : 社会的インパクト評価をイノベーションに利用する

この段階の組織は、社会的インパクト評価を活かして、事業や組織をより成果が生まれるように改善していくことができます。このことから、非常にイノベーティブといえるでしょう。

様々や関係者や手法、指標にも幅広く気を配り、より自分たちが社会的インパクトを創りだせるよう積極的に行動します。まるで企業が新規事業の開発に取り組むように、社会的インパクト評価を用いて、新しい社会サービスを開発して社会課題の課題に取り組むことができるのです。

また、同じような社会課題に取り組んでいる組織や人々にも情報共有を行います。こうすることで連携して事業に取り組むことができるようになります。これにより、単独で取り組む時よりも、大きな社会的インパクトを目指すことができます。連携の効率が上がることで、各部分の総和よりも大きな社会的インパクト評価を目指すことも可能になります。

 

Level 6 : 社会的インパクト評価を外部環境と共有する

社会課題に取り組む場合、特定の組織だけでできることにはもちろん限界があり、より大きな成果を求めようとすれば、同じ課題に取り組む他の組織と連携したり、ムーブメントをその業界全体に広げたりしていく必要があります。

このレベルの組織は、社会的インパクト評価やそれに使っている指標等を共有して、こういった環境に貢献しようとします。これまでのレベルと違うところは、自らの組織だけではなく、積極的に同じ社会課題に向き合っている組織も社会的インパクト評価の対象にしているところです。

 

まとめ

今回は、社会的インパクト評価の活用段階について解説しました。

社会的インパクト評価を活用しようとすると様々な壁があり、なかなか一筋縄ではいかないことも多いです。レベル5まで行けた組織は神がかっているといっても過言ではないと思います。しかし、これらのレベルを目指すことに意味があり、現在関わっている、協力している組織が、どのくらい努力しているのかを考えてみることはとても大切なことだと思います。

※この記事は主に参考文献にも挙げている『社会的インパクトとは何か 社会変革のための投資・評価・事業戦略ガイド』をベースに構成しました。著者のEpstein氏や翻訳にあたられた鵜尾さん鴨﨑さんに敬意を表します。

 

参考文献

・マークJエプスタイン他著、鵜尾雅隆、鴨﨑貴泰監訳、松本裕訳(2015)『社会的インパクトとは何か 社会変革のための投資・評価・事業戦略ガイド』栄治出版。
・John Kania & Mark Kramer(2011)”collective impact” Stanford Social Innovation Review, Winter 2011.