共有評価(シェアードメジャメント)システムの作り方

共有評価(シェアードメジャメント)とは「Shared Measurement/共有評価がインパクトを加速させる」で解説しているように複数の組織間で社会的インパクト評価を共有することを言います。では、社会的インパクト評価を共有するシステムを作るためにはどのようなステップを踏めばいいのでしょうか?今回は、共有評価(シェアードメジャメント)システムの作り方について解説します。

ステップ0 下準備

具体的な共有評価(シェアードメジャメント)システムを構築に入る前に、事前準備をしておく必要があります。このステップでは、そもそも適しているのかということ、メンバーの洗い出しについて取り組む必要があります。

適切かどうかの検討

具体的な議論に入る前に、自分たちの分野で共有評価(シェアードメジャメント)がうまく機能するかどうかを検討しなければいけません。具体的には、「セクターの状況」や「取り組む社会課題の性質」「共有評価への関心」といった基準についてレビューします。

共有評価システムの導入は、どの分野どの組織にも適用できるものではありません。向いているところと向いていないところがあります。この点をしっかりと検討しておく必要があります。

必要十分な初期メンバーの洗い出しと巻き込み

共有という言葉がついているように、共有できるメンバーが必要です。既に組成されているグループやネットワーク、フランチャイズが共有範囲である場合は、事前に意思疎通をとることは比較的容易かもしれません。しかし、まったく独立した組織間で共有する場合、入念なすり合わせが必要になるでしょう。

ステップ1 要件定義/デザイン

下準備のステップでそもそも共有評価が適切なのかについて明確にできたら、いよいよ具体的な設計の段階に入ります。ここではまず、全体像を明確にします。具体的には以下の点について検討する必要があります。

ビジョンの共有

共有評価システムを作る際にはビジョンを共有することが重要です。ビジョンというと難しく聞こえますが、要は目的やその後の展開について見解を一致させておくという事です。

また、システムをどのように活用するのかや誰が活用するのかについても見解を一致させておく必要があります。また、この見解とシステムの内容についても関連させておく必要があります。

知見とデータの現在の状態を概観する

要件定義のステップでは、それぞれの組織に既にある知見やデータの状態を理解する必要があります。社会的インパクト評価やそれに関連する取り組みの蓄積を集積した方がゼロから作るよりも効果的に効率よく作ることができます。

指標の設定

ここまでに決めたビジョンやセオリーオブチェンジ、状態も踏まえ指標を決定します。この時に既に使えるツールもあるので、それらも利用できないかも合わせて考えます。指標の組み合わせや分量に関しても多すぎると逆に使いづらくなるので、注意が必要です。

測定方法やデータ収集方法の明確化

どのような指標をどのように収集し、どう分析するのか、測定方法はどうするのかといった点を明確にします。社会的インパクト評価のメインディッシュともいえる内容ですね。共有評価では、類似した測定方法を使うので、しっかりとしたコンセンサスが必要になります。

また、ここではデータや評価の厳密性や情報公開の透明性も含めて考えておく必要があるでしょう。

ステップ2 ハードとソフト両面のシステム開発

ここで言うシステムとは、ハード面(ネット上のプラットフォームやプログラムなど)だけでなく、関係者間の連携の方法や財務的な持続可能性のようなソフト面についてまで含めます。定義された要件に沿って、具体的なシステムの開発に進みます。このステップでは以下のことについて考える必要があります。

密な情報共有

これは共有評価システムの構築においてとても重要な点です。進行状況を共有しながら、ボトムアップで進めていくことが共有評価システムを構築していく上で不可欠です。

テクノロジーの有効活用の検討

既に実践されている共有評価システムのほとんどはウェブ上のプラットフォームで情報の収集や共有を行っています。

また、データの収集に関しては、IoTやビッグデータといった情報技術の活用も有効です。このようなテクノロジーは高い専門性が必要な上に、高価な場合が多いです。しかし、社会的インパクト評価を共有するので、共同負担もできる場合もあり、無理ではないでしょう。

ステップ3 運用

共有評価システムの開発ができても、それを持続的に運用していく必要があります。それが運用のステップです。このステップでは以下のことについて取り組む必要があります。

進行中のツールの洗練

これまでのステップで社会的インパクト評価の手法や指標、データ収集の方法等を特定してきました。このステップではこれらのツールを状況に合わせてレビューし、改善していかなくてはいけません。

また、システム自体の使い勝手についても利用者の意見も聞きながら改善していく必要があるでしょう。利用者の利用しやすいという点は外せないポイントになります。

改善に向けた学習の場のセッティング

ツールの改善もさることながら、システムに参加している組織の能力向上も必要でしょう。定期的に勉強会を開いたり、ガイドラインの見直しをしたりといったレビューする取り組みが必要になるでしょう。

ツールの向上と組織能力の強化は共有評価システムの両輪にあたります。共に取り組んでいく必要があるテーマです。こうすることで、社会課題への理解、能力強化、システムの改善が可能になります。

財務上の持続性の確保

持続的に運用していくには財務上の持続性も不可欠です。開発の段階では、補助金や助成金等の活用も有効ですが、持続的ではありません。そのため、一定程度のキャッシュフローを生まなければいけません。

まとめ

今回は、共有評価(シェアードメジャメント)システムの構築プロセスを解説しました。
基本的には、一般的な社会的インパクト評価のプロセスと類似していると思いますが、複数の組織と共有するという点で関係者の巻き込みなどに気を使う必要があります。