ロジックモデルって何?社会的事業の便利ツールを大解剖!

近年、社会的な事業に関心の高いソーシャルセクターや企業の間でロジックモデルというフレームワークが盛んに導入され始めています。これは、事業がどのように受益者に関する成果に繋がっているのかを図式化するものです。もともと行政評価の現場で使われていたものですが、なぜ普及が始まっているのでしょうか?今回は便利ツールであるロジックモデルについて解説します。

ロジックモデルとは?

ロジックモデルとは一体どのようなものなのでしょうか?まずはこの概要について簡単に紹介します。

因果関係の仮説を見える化するもの

因果関係の仮説を立てるものというと難しく聞こえますが、言い換えれば、現在行っている事業がどのように受益者(利益を受ける人たち)の生活の向上といった成果につながっているのかを考えるものと言えます。

下で詳しく説明しますが、ロジックモデルはお金や人材などの資源の投入からアウトカムまでの連なりを考えます。左から右へ「こうならば、こうなる!」といった風に見ていきます。

政策評価の現場で使われていた

ロジックモデル自体は特に新しいものというものではありません。政府や行政の行っている政策評価の現場で使われていました。税金を使っている以上、政策がどのように成果に結びついているのかを考えた上で実施されていなければいけません。このような背景から、実施されている政策が国民の生活の向上にどのように繋がっているのかを考えるときにロジックモデルが活用されてきました。

ロジックモデルの構成

ロジックモデルは基本的に、以下の

  • 資源(インプット)
  • 活動(アクティビティ)
  • 直接の結果(アウトプット)
  • 成果(アウトカム)
  • インパクト

といった要素で構成されています。しかし、作成者や解説者によって、細かい部分は変わるので、一番やりやすい形を探しながらやってみるのがオススメです。ここでは、最も基本的と思われるこれらの要素からなるものを紹介します。

資源(インプット)

人材や資金、もの、文化のような資源についての要素です。これらの資源が事業にどの程度活用できて、逆にできないのかということを考えてみます。資源は次に続く活動に制限をかけるので、あればあるだけいいですが、手元の資源をどううまく活用するのかという視点も必要でしょう。

活動(アクティビティ)

事業を実施するための行動のことです。何かの製品を作ったり、サービスをするために必要な取り組み全体を指します。このアクティビティを通して、アウトプット(直接の結果)を生み出します。また、活動はそれに必要な資源に制限されてしまいます。このような時は自分たちだけでするのではなく、他組織との連携を考えてみるのも一つの手です。

直接の結果(アウトプット)

事業による直接の結果や成果物のことを指します。具体的には、受益者に提供される製品やサービスのことです。

現在行政機関を含め、多くの組織が目標を設定していますが、多くの場合アウトプットのレベルでの目標にとどまっています。例えば、イベントの参加人数や製品の販売数はアウトプットレベルでの目標です。しかし、本当に重要なことはそれによって対象としている受益者がどうなったのかということです。その点を考えるのが次の成果(アウトカム)です。

成果(アウトカム)

受益者に直接及ぶ効果でインパクトを達成するために必要なものを指します。事業のアウトプットが受益者の行動や態度、能力などにどう影響を与えたのかを考えます。アウトカムに関しては、時間軸を設けて短期→中期→長期といった流れで定義されることも多いです。

インパクト

事業やその実施主体の組織の最終目標のことを指します。なぜその事業や組織が存在するのかという本質的で根本的な理由を表します。

インパクトに関しては、定義の仕方によって、アウトカムをどこまで含むのかといった点が変わってくるので注意が必要です。しかし、受益者が最終的にどうなることが重要なのかを表していることには変わりありません。

アウトカムの重要性

構成要素の中でもアウトカムの部分はとても大切です。アウトカム(成果)とは、「対象としている受益者がどのような状態になるのか」など、自分たちではなく受益者にフォーカスしたものになります。これは社会サービスにとって本質的なことであり、一番大切にしないといけないところでもあります。

受益者に確実にちゃんとした支援が届いていなければ意味がありません。その意味で、ロジックモデルのアウトカムの部分をしっかりと考え抜くということはとても重要であると言えます。

ロジックモデルを作るメリット

ロジックモデルを作るとどんないいことがあるのでしょうか?一度取り組んでみると分かりますが、シンプルなように見えてとても難儀します。そんな苦労をした分だけいいことがあるのでしょうか?

事業の振り返りができる

ロジックモデルを作ってみると、これでもかというほど自分たちの事業や組織の内容やこれまでとこれからを考えなければいけなくなります。普段の業務に夢中になるとどうしても、自分たちについて振り返る機会は減ってしまいます。ソーシャルセクターにしろ、企業にしろ、このような時間こそが改めて自分たちについて振り返ることができる貴重なものになります。

また、いざ振り返りをしてみようと思って見ても、何から何を考えればいのかについて分からないことも多いでしょう。ロジックモデルは考えるための道筋を示してくれるという意味でも振り返りにいい影響を与えてくれます。

関係者との意思疎通ができる

上記のように事業の振り返りをするときに、1人でやるよりも複数の関係者を巻き込んで行うことが重要になります。もちろん喧々諤々の議論が起こることは簡単に想像つきますが、それによって各自がバラバラに捉えていた事業や組織の行き先や受益者について意思の疎通に繋がります。ロジックモデルを通して議論をすることによって、同じ方向を目指して頑張ることができるようになります。

成果の定義ができる

ロジックモデルのアウトカムやインパクトの部分は、事業や組織の成果だということができます。逆の見方をすれば、成果を考えたい場合、アウトカムやインパクトの部分を考えて掘り下げて考えればいいということになります。

自分たちの事業や組織が目指しているのはどこなのか?その為にはどんなステップを踏んでいけばいいのかといったことを考えることで、構造的に成果を定義することができます。

社会的インパクト評価への応用

上で書いた通り、ロジックモデルを作ることで、どの成果が重要なのかを考えることができるようになります。その成果を指標として落とし込むことで、成果の評価へ繋げることができます。

この意味で、成果志向の組織や個人にとってロジックモデルはとても強力なお助けツールであると言えます。

まとめ

今回はロジックモデルの概要について紹介しました。もともと政策評価の現場などで活用されていたものですが、民間の事業者でもその活用が進んできました。それだけ便利なツールだということでしょう。

今後もいろいろな文脈で活用が進んでいくことと思います。いづれにしても、ロジックモデルが事業の成長に大きな意味を持つことは間違いないと思います。

参考文献

[1]W.K. Kellogg Foundation(2004)”Logic Model Development Guide”
[2]マーク・エプスタイン他著、鵜尾雅隆他監訳(2015)『社会的インパクトとは何か 社会変革のための投資・評価・事業戦略ガイド』