ベンチャーフィランソロピーの4つの論点

ベンチャーフィランソロピーは社会的インパクトを最大化するために、ベンチャーキャピタルのモデルを基にして、慈善団体から社会的企業、一般的な営利組織までを資金提供と能力強化の両面から支援する手法のことです。「ベンチャーフィランソロピーとは」で詳しく解説しています。

このような手法ですが、特徴的な論点がいくつか存在しています。今回はその論点を重要なもの4つに絞って解説してみます。

支援先決定までの流れについて

伝統的な助成財団は、既に決められた手続きを通して申し込みをしてきた団体に対して助成を行うことが一般的です。しかし、ベンチャーフィランソロピーはこれとは異なります。ベンチャーキャピタルと同じように、将来伸びる可能性のある支援先を自ら事前に見つけ出さなければいけません。このスタンスの違いが、アクティブな手法であるという由来です。

また、将来伸びる可能性のある支援先を見つけ出すためには、情報を得るためのネットワークが必要になります。ネットワークを活用して、自ら見つけ出したり、推薦をしてもらったりしてポテンシャルの高い支援先と繋がります。

このようにして将来有望な支援先をいかに見つけるかということがベンチャーフィランソロピー組織の腕の見せ所ともいえるでしょう。

支援先の評価について

支援先を確定する際には3つの段階を踏んで選定されます。

1、文書の確認&webサイトを確認する
2、デューデリジェンス
3、投資の提案

このようなステップで、より有力な支援先を選び出します。

デューデリジェンスとは、事業や組織運営、資産等の調査活動のことを指します。
ベンチャーフィランソロピーの場合は、ビジネスモデルや社会的インパクトの定義、ガバナンスの状態等を調査します。この調査によって、支援先候補の組織が今後どのくらいの社会的インパクトを生み出せそうなのか、事業の持続可能性はどの程度なのかを判断します。

評価を行い見込みのある支援先候補が決まったのちに、どのような資金的な支援や能力強化ができるのかを提案し合意されれば、ベンチャーフィランソロピー組織として支援が開始します。

ポートフォリオ・マネジメントについて

ベンチャーフィランソロピーの大きな特徴として、支援先の運営チームと日常的に関わりを持っている点が挙げられます。これは、伝統的な助成財団とは大きく異なります。

ここで言うポートフォリオとは、支援先と支援内容の組み合わせのことを指しています。
支援先の組織がうまくいっているのか、目標への進捗がどうなのかといった点を注意しながらポートフォリオの管理を行わなくてはいけません。

助成財団とは異なり、ボードメンバーにベンチャーフィランソロピー組織から人材を送り込むという手段をとることもあり、大きな社会的なインパクトを生み出すためにより積極的に運営に関わります。

イグジットについて

イグジット(EXIT)は、上場や売却を通して創業者やベンチャーキャピタルなどが利益を得ることを言います。ベンチャーキャピタルは投資先のイグジットによって大きな利益を獲得することを目指しています。

イグジットの方法はいくつかありますが、有名なものは新規上場があります。未上場の株式会社が証券取引所に株式を公開するIPO(新規上場:Initial Public Offering)によって利益を得ることができます。最近ではLINEが上場したことで話題になりましたね。

また、M&A(Merger and Acquisition:企業の買収・合併)もメジャーです。IPOを目指すこともいいのですがやはり上場するのはとても大変です。そんな中でM&Aは比較的早く実現でき、買収する側も割安で買い取れるので近年事例が増えています。

しかし、ベンチャーフィランソロピーについて考えてみると、これらのようなイグジットの考え方は馴染まないことが分かります。ベンチャーフィランソロピーの支援先の多くには非営利組織(慈善団体や社会的企業)が含まれています。上記のイグジットの考え方は株式会社(営利組織)が前提となっており、そもそも非営利組織には原理的にそぐわない考え方であると言えます。

では、ベンチャーフィランソロピー組織にとってイグジットはどのように考えればいいのでしょうか?この点についてはいろいろな議論がなされていますが、支援先のステージによって関わり方を変えるという考え方が一般的なようです。運営に関与したり、多額の資金支援を行ったりといった支援から対等なパートナーとして関わるように関係性を変化させます。なので、イグジット(EXIT)ではなく、卒業(Graduation)ということがあるそうです。

まとめ

今回はベンチャーフィランソロピーの論点について解説しました。

ベンチャーキャピタルのモデルを参考にしているとはいえ、独特の論点が存在し、今後も改良され成長していくものだと思います。