ソーシャルファイナンスのレバレッジ

2016-10-21

社会的価値を生み出す金融であるソーシャルファイナンスですが、なぜ注目に値するのでしょうか?その答えは、「レバレッジ」にありそうです。レバレッジとは梃子(テコ)のことですが、これがソーシャルファイナンスをより効果的なものにしています。今回は非営利組織研究の第一人者であるレスターサラモンの『Leverage for Good(小林立明訳 フィランソロピーのニューフロンティア)』をベースにして、ソーシャルファイナンスをレバレッジの観点から見てみましょう。

レバレッジをきかせてより大きな成果を!

その昔、アルキメデスは言いました。
「もし十分な大きさのテコとそれを置くものがあれば、この地球を動かして見せよう」と…

レバレッジとは、梃子(テコ)のことです。テコを使えば軽い力で重いものも動かせるということはよく知られたことですよね。テコがこのような性質を持っていることから、「限らせた資源でより大きな成果を出すこと」をレバレッジと言っています。

ソーシャルファイナンスは、伝統的な寄付や補助金以上にその資金がどのくらいの成果をあげられたのかにフォーカスします。例えば、同じ100万円があっても、そのお金で1%よくできるより、2%よくできる方がよく、できれば5%や10%までよくできることが理想的であると考えます。このような考え方をレバレッジと言い表しています。

4つの特徴

非営利組織研究の第1人者であるレスターサラモンは、現在のフィランソロピーについて、4つの特徴を挙げています。詳しくは以下で解説しますが、これらの特徴は、ソーシャルファイナンスや社会的企業にもいえることです。これは、もともと少ない限りある人や資金などの資源をより効率的に活用して大きな成果を上げようとする意識が広がっていることを表しています。

助成金

助成金とは一般的に返済の必要のない資金のことを指します。返済の必要がある資金は融資と呼ばれます。

現在の多くの社会的組織(特に、非営利組織)は、助成金や補助金への依存度が高いといわれています。もし、助成金等に財源の多くを頼っている場合、その助成金の期間や資金が切れた場合、それ以上の運営が難しくなるという課題があります。

その点、自前の事業を持ちその事業による収益を中心に成立している組織は強いですし、レバレッジの観点からも外部資源を有効に活用できていると考えることができます。

助成財団

これは、助成金を出す財団の側の視点です。

助成金は資金を提供してもリターンがない類の資金提供です。
しかし、支援先がしっかりとキャッシュフローを生み出し必要限度の資金の回転を作ることができれば、株式会社への投資程とはいかなくても、ある程度の金銭的なリターンが期待できます。そうすれば、ここで得られた金銭的なリターンをまた新たな支援先へ資金提供するといったことも可能になります。

このように考えれば、これまで通りの助成財団ではなく、投資ファンドのようなパフォーマンスをする組織も生まれるようになるかもしれません。

脱寄付

寄付も既に述べた助成金のように、金銭的なリターンのない資金提供の形です。
ここにも、投資の考え方のように、金銭的なリターンも視野に入れながら資金提供する必要があるという点が挙げられます。

しかし、それと同じくらいに、成果に着目するといった成果志向の考え方も重要になるでしょう。
社会的インパクト評価とは」でも解説してあるように、社会的インパクト評価を積極的に活用しながら寄付先を考えたり、寄付額を調整したりといったこともできるようになるでしょう。

現金

ソーシャルファイナンスを取り上げているものの、社会的価値を作り出すための資源は現金だけではありません。例えば、物資や特殊技能、人材なども挙げられます。これらの資源をどう利用するのかという点がとても重要になります。

また、近年では電子マネーをはじめとする仮想通貨が次々と登場しています。仮想通貨はこれまでの伝統的な通貨(=現金)と取って代わるのではと注目を集めています。伝統的な金融システムから排除されてしまっている人達にとってしてみれば、このような仮想通貨も一つの選択肢になり得ますし、いかにこれらを活用するかが重要な点になると思われます。

まとめ

ソーシャルファイナンスの概要については、「社会的価値をつくりだす金融、ソーシャルファイナンス」でも解説していますが、今回はレバレッジを切り口にして、ソーシャルファイナンスをのぞいてみました。

金融の世界ではよく使われるレバレッジですが、ソーシャルファイナンスでもやはり使われるようになりました。また、これはファイナンスだけの動きではなく、現場や最前線で活動している組織の事業にも当てはまることだと思います。ソーシャルビジネスや社会的企業といったコンセプトは、より社会的インパクトを大きくするために仕組みをつくり、持続させようとしているのですから。

この考え方がきっと世の中をよりよくしていくのではないかと思ってやみません。

参考文献

・Alex Nicholls et al eds. (2015) Social Finance :Oxford University Press.
・レスターM.サラモン著,小林立明訳(2016)『フィランソロピーのニューフロンティア』ミネルヴァ書房.