【個人向け】寄付金控除の意義と受け方を詳しく解説!

一定の基準をクリアした団体に寄付した場合、寄付金控除を受けることができます。主には所得税からですが、中には住民税でも受けることが可能です。また、最近話題のふるさと納税も寄附金控除の対象となっているので、利用者も増えています。今回は、なぜこのような制度があるのかという点から具体的な計算方法や受け方まで解説していきます。

寄付金控除の意義

寄付金控除は一体何のために行われるのでしょうか。その意義を考えてみると、政府・行政が考えていることやどう活用すべきかが見えてきます。

民間のお金を社会的な事業に流すため

介護や医療、福祉、教育などの社会的な事業は、多くの場合政府や行政によって行われてきました。しかし、財政難などで社会サービスの質や量を保証しきれなくなる危険性が高まっています。そんな中で、民間の主体による社会的な事業の展開に期待が寄せられてきました。

ところで政府や行政の財源は国民が納める税金であり、納税は国民の義務とされています。しかし、民間主体の事業にも当然財源が必要なので、彼らへの資金の流れを促す必要があります。民間の主体、例えばソーシャルセクターの場合は、その財源の一つに寄付金があります。この寄付のボリュームを大きくする為に、寄付に対するインセンティブを高めようとしているのです。

税制改正でより有利に

2011年に寄付税制が改正されました。2011年といえば、東日本大震災があった年ですが、この時全国的に寄付の金額が大幅に増加しました。このような社会背景も追い風となり、税制改正が行われより寄付金控除の幅が広がりました。

ここで紹介している計算方法や受け方は全て税制改正後の内容に基づいています。今後新たな改正があるかもしれませんがなるべくタイムリーに追加していこうと思います。

控除の方法は、2種類ある

一口に寄附金控除といっても大きく2種類の計算方法があり、有利な方を選択することが可能です。有利かどうかは総所得金額などによって変わりますが、これは以下で詳しく解説します。なお、寄付金額は所得金額の40%が限度になります。

所得控除

所得控除の場合の計算式は基本的に以下のようになります。
所得控除額=寄付金額-2,000円

年間の全収入から給与所得控除や配偶者控除などを差し引く時に、上記の計算分も一緒に差し引きます。それが、課税所得金額となり、所得税率をかけた後、税額控除の対象があればそれを差し引いて所得税額が決定します。

この方法を選ぶ場合、配偶者控除と同じように計算をすれば良いと理解すればいいと思います。

税額控除

税額控除の場合の計算式は以下のようになります。ただし、その年の所得税額の25%が上限になります。
税額控除額=(寄付金額-2,000円)×40%

また、以下で説明している認定NPO法人のうち、都道府県や市町村が条例で指定した法人に寄付すれば、住民税の方でも税額控除できます。これは合計で10%が可能になるので、マックス50%が対象となります。

どっちがいいかは人によって違う

二つの方法について全体観も含めてまとめると図のようになります。

寄付金控除の概要図

さて、どちらか有利な方を選べるようになっているのですが、どっちがいいのか判断に迷うところもあります。一つの基準としては、所得の多さが挙げられます。所得控除の場合、所得税率をかける前に控除分を引きます。ご存知の通り所得税は累進課税なので所得が多い人ほど税率は高くなります。つまり、先に引いてしまう方が税率が高い人にとっては有利ということになります。一方で税額控除は税率に影響されません。

寄付金控除を受けるために

控除を受けたい場合どのような条件や手続きが必要なのでしょうか。もちろん無制限ではないので、これから解説する条件や手続きを確認しておきましょう。

適用される寄付先

寄付金控除が適用される寄付先としては主に以下のものが挙げられます。

・国や地方公共団体
・認定特定非営利活動法人等(仮認定NPO法人も含む)
・独立行政法人や社会福祉法人などの特定公益増進法人
・政党や政治資金団体など

このような組織への寄付金は寄付金控除の対象となります。しかし、一定の条件があることが多いのでご自身の寄付金が対象になるかをチェックしてから申告する必要があるでしょう。また、政党などへの寄付金の場合、計算式が異なっているのでご注意ください。

認定NPO法人って?

ところで、適用される寄付先の中に認定特定非営利活動法人(以下、認定NPO法人)というものがあります。NPO法人では寄付金控除を受けることはできませんが、認定NPO法人ではそれが可能です。

もともとNPO法人というのは、特定非営利活動促進法という法律に根拠づけられる法人格で、法人格自体は手続きさえクリアすれば誰でも取得することは可能です。一方、認定NPO法人はこのNPO法人のうち一定の基準をクリアしたものをさします。内閣府のNPOホームページには以下のように記載されています。

認定NPO法人等になるための一定の要件とは、次の基準のことです。

  1. パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(仮認定は除きます。)
  2. 事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること
  3. 運営組織及び経理が適切であること
  4. 事業活動の内容が適切であること
  5. 情報公開を適切に行っていること
  6. 事業報告書等を所轄庁に提出していること
  7. 法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと
  8. 設立の日から1年を超える期間が経過していること

引用:内閣府NPOホームページ「認定制度について」

つまり、NPO法人の中で、上記の基準をクリアしたものが認定NPO法人として活動できるということです。認定NPO法人はしっかりした組織でないとなれないので、比較的信頼性は高いと言えます。

確定申告が必要

寄付金控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。毎年2月中旬から3月中旬で1年間の所得を計算して所得税を申告します。その時に、領収書などの寄付を証明する書類を揃えて申告します。

給与所得者(サラリーマン等)の場合は、企業が給料を払う過程で税金分を抜いて、申告に当たることも代わりに企業が行なっています。ですので、あえて確定申告をする必要があります。年末調整によって計算された分と差し引きして多い分が還付されます。

ふるさと納税

最近話題のふるさと納税でも寄付金控除を受けることができます。ふるさと納税は納税と銘打ってはいるものの実質的に地方自治体への寄付になります。お返しとして地元の特産品が送られてきたり、故郷へお返しができたりといったメリットがあることから年々総額が増加しています。

どのくらい控除されるの?

では、ふるさと納税でどのくらい控除されるのでしょうか?

ふるさと納税では、寄付した金額のうち、自己負担額である2000円を除いた金額が税金から控除されます。所得税からのものと住民税からのものの両方が可能です。基本的な計算式は以下のようになります。

1、所得税からの控除
(寄付金額-2,000円)×所得税率
2、住民税からの控除(基本分)
(寄付金額-2,000円)×10%
3、住民税からの控除(特例分)
(寄付金額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)

上記の1〜3を合計した金額が寄付金控除の対象となります。
寄付金額やその他の控除の有無によってかなり金額は変わってくるので、大方の金額を知りたい方は、総務省のポータルサイトを覗いてみてください。

また、ふるさと納税の場合も、確定申告が必要ですが、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」という制度ができており、条件を満たせば5団体以内までは確定申告が不要になっています。こちらの方もチェックしてみるといいでしょう。

まとめ

今回は寄付金控除について解説しました。寄付を行なった人が有利になるような制度にすることで、社会的な事業へ資金が流れるようにしようとするものでした。控除額の計算などはややこしい部分があるものの、ちょっと多めに寄付してみたという方がいれば、積極的に活用してみてはいかがでしょうか?